大学中退率の最新データ2026|学年別・分野別の推移と背景を読み解く
日本の大学に入学した学生のうち、年間約2.1%が在学中に退学している。文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査」(2024年6月公表)によれば、令和5年度(2023年度)の大学(学部)中退者数は56,710人にのぼり、3年連続で増加した。4〜6年間の在学期間を通じた累積でみると、入学者の約7%が卒業を待たずに大学を去る計算になる。大学・短大進学率が令和6年度に62.3%と過去最高(文部科学省「学校基本調査」令和6年度確定値)を更新し続けるなかで、大学中退率という現象は決して例外的ではない。
この記事では、文部科学省・学校基本調査・独立行政法人労働政策研究・研修機構など一次統計に基づき、大学中退率の最新推移・学年別分布・中退理由の内訳・学部系統別の傾向・構造的背景を体系的に整理する。数字の読み方を正確に押さえることで、中退という現象の実態をより立体的に把握できる。
- 令和5年度(2023年度)の大学(学部)中退者数は56,710人・中退率2.10%(文部科学省調査)。
- 中退が最も多い学年は2年生(全中退者の約31%)。専門科目が始まる時期に集中。
- 理由の1位は転学・進路変更等(22.0%)、次いで学生生活不適応(16.5%)、就職・起業(14.4%)、経済的困窮(13.6%)の順。
大学中退率の最新数値(2026年版)
文部科学省が実施する「学生の中途退学者・休学者数に関する調査」は、全国の国公私立大学・短期大学・大学院・高等専門学校を対象とした悉皆的な一次統計だ。令和6年度(2024年度)調査の回答率は96.8%に達しており、信頼性の高い全国データとして利用できる。大学(学部)における中退者数・中退率の直近3年推移は以下のとおりだ。
| 年度 | 中退者数 | 年間中退率 | 前年度比 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度(2021年度) | 48,694人 | 1.79% | — |
| 令和4年度(2022年度) | 52,459人 | 1.94% | +3,765人 |
| 令和5年度(2023年度) | 56,710人 | 2.10% | +4,251人 |
| 出典:文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果」(2024年6月公表) | |||
年間中退率2.10%は「在学生100人のうち約2人強が1年間に退学する」水準を意味する。4〜6年間の在学期間を通じた累積では約7%に達するとされており、100人の入学者のうち7人前後が最終的に卒業証書を受け取らない計算になる(読売新聞「大学の実力」調査)。
なお、大学・短期大学・大学院・高等専門学校を合算した高等教育機関全体の中退者は令和4年度時点で63,098人(前年度比+4,050人)だった(文部科学省「令和4年度 学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査」)。学部の数字だけで見るよりも、高等教育全体では規模がさらに大きいことが分かる。
中退のタイミング──学年別分布
中退者がどの学年で籍を抜いているかを把握することは、支援策の設計において不可欠な視点だ。独立行政法人労働政策研究・研修機構「大学等中退者の就労と意識に関する研究」(2015年5月)に基づく学年別分布は次のとおりだ。
| 学年 | 割合 | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| 1年生 | 17.0% | 入学直後の適応失敗・志望ミスマッチの顕在化 |
| 2年生 | 31.0%(最多) | 専門科目本格化・前期課程での疲弊・進路再考 |
| 3年生 | 23.8% | 就職活動との兼ね合い・転進検討の本格化 |
| 4年生以上 | 28.1% | 単位不足・卒業論文の行き詰まり・就職未定での離脱 |
| 出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「大学等中退者の就労と意識に関する研究」(2015年5月) | ||
2年生(31.0%)が突出して多いのは、専門科目・実験・演習が本格的に始まるタイミングと重なるためだ。入学前に描いていた専攻イメージと実際の学習内容とのギャップが顕在化し、「このまま続けるべきか」という意思決定が迫られる時期でもある。4年生以上の28.1%も見逃せない数値であり、卒業目前での離脱は就職活動の失敗や卒論の停滞が主因として挙げられる。
JAIC(株式会社ジェイック)「2023年度中退データ集」の分析によれば、文系と理系で中退タイミングに差がある。文系では3・4年次での中退が多い傾向(就職活動の挫折・ミスマッチの遅延認識)のに対し、理系では2・3年次での中退が多く、実験・演習の密度が高まる時期に早期離脱が集中しやすい構造となっている。
なぜ辞めるのか──中退理由の内訳
文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査」では、中退理由が複数カテゴリで分類・集計されている。主要カテゴリの割合は以下のとおりだ。
| 中退理由 | 割合 | 性質 |
|---|---|---|
| 転学等・進路変更等 | 22.0% | 積極的・消極的の双方を含む |
| 学生生活不適応・修学意欲低下 | 16.5% | 困難型(支援介入の余地あり) |
| 就職・起業等 | 14.4% | 積極的キャリアチェンジ |
| 経済的困窮 | 13.6% | 困難型(奨学金等で対応可能) |
| 学力不振 | 7.3% | 困難型(学習支援で軽減の余地) |
| その他(疾患・家庭事情等) | — | 多様な個別事情 |
| 出典:文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果」(2024年6月公表) | ||

「転学等・進路変更等」が22.0%で最多だが、このカテゴリには専門学校への転籍・海外大学への編入・職業訓練の選択など、必ずしもネガティブとは言えない意思決定も含まれる。一方、「学生生活不適応・修学意欲低下」(16.5%)と「経済的困窮」(13.6%)は、適切な介入によって防げる可能性がある困難型の中退であり、合わせて全中退者の約3割を占める点は重い数値だ。
経済的困窮を抱えている場合、JASSO奨学金の種類・申請条件・締切を事前に把握しておくことが、退学という選択を回避するうえで最も実効性の高い初動になる。多くの国公私立大学が独自の緊急給付奨学金や授業料免除制度を設けており、学生支援担当窓口への早期相談が選択肢を広げる。
学部・分野別の傾向
中退率は学部・分野によっても傾向が異なる。JAIC「2023年度中退データ集」では、文系・理系別の中退理由に以下のような傾向が確認されている。
- 理工・農学系:「学業不振・無関心」を理由とする中退が文系よりも多い。実験・演習の単位負荷が高く、授業についていけないと感じた時点での離脱判断が早まりやすい。
- 人文・教育系:「家庭・経済的理由」による中退が理系よりも多い傾向がある。学費対効果を問い直す時間的余裕が生まれやすい文系カリキュラムの特性が一因とも指摘される。
- 医療・看護・保健系:国家資格取得という明確な目標があるため全体的に中退率は低いとされるが、実習の過酷さや適性との乖離から途中で離脱するケースも存在する。
設置者別では、私立大学は国公立大学と比べて入学者の経済的背景の多様性が高く、年間授業料の負担感が中退リスクと結びつきやすい構造がある。上智大学が公表した修学情報によれば、2023年度の学部・大学院を合わせた退学率は3.81%であり、個別大学でも年1回程度の情報開示が行われている例がある。大学選びの段階で、各校が公表する修学情報(退学率・休学率)を確認する習慣をつけることが望ましい。
中退を増加させる構造的背景

直近3年間の中退者数増加には、個人の事情だけでなく高等教育政策・経済環境・社会構造の変化が複合的に作用している。主要な構造的要因を以下に整理する。
入試の多様化とミスマッチリスクの上昇
総合型選抜(旧AO入試)・学校推薦型選抜の拡大により、入学者の学習準備状況や専攻適性のばらつきが大きくなっている。一般選抜中心の時代と比べ、入学後に「思っていた学問と違う」という適性ミスマッチが顕在化しやすく、これが特に1・2年次の中退を後押しする一因となっている。
経済的困窮の長期化
私立大学の年間授業料が100万円を超える水準で定着しているなか、物価上昇とアルバイト収入の不安定化が重なり、在学中に学費の工面が困難になるケースが増えている。「学業とアルバイトの両立が限界に達した」という経路が経済的困窮カテゴリの底流をなしており、奨学金制度の積極的活用が急がれる。
メンタルヘルス問題の顕在化
「学生生活不適応・修学意欲低下」カテゴリには、抑うつ・不安障害・発達障害など精神医学的背景を持つ中退が多く含まれると指摘されている。大学の学生相談室・保健センターへのアクセス件数が年々増加傾向にあることは、この問題の広がりを反映している。大学生のAI利用割合を追ったデータでも、学習負荷の軽減にテクノロジーを活用しようとする学生の傾向が確認されており、学業継続への支援ツールとして注目される動向だ。
就職・起業という積極的離脱の増加
「就職・起業等」を理由とした中退(14.4%)は過去と比べて一定の存在感を持ち続けている。スタートアップ文化の浸透や早期採用の拡大により、「大卒資格よりも早期の職業経験を選ぶ」という判断が一定の合理性を持つ局面が生まれている。中退統計を単純に「問題」として読むのではなく、キャリア観の多様化という文脈で捉える視点も必要だ。
大学院の中退──修士・博士の傾向
文部科学省の調査は大学院(修士・博士・専門職学位課程)の中途退学者も集計対象に含んでいる。大学(学部)と比べると、大学院における中退の文脈は異なる性格を持つ。修士課程では「就職機会を優先した積極的中退」が一定割合を占める一方、博士課程では「研究の行き詰まり・経済的困窮・指導関係の問題・メンタルヘルス上の困難」が主因として積み重なりやすい。
修士修了後に博士課程へ進む割合(修士→博士進学率)は近年低下傾向にあり、研究者キャリアの先行き不透明感が進学意欲を抑制している。日本全体の大学院進学率・学部別の詳細は、大学院進学率の最新データ2026(学部別・国際比較)で体系的に整理している。
博士課程在籍者が直面する経済的・精神的困難については国際的にも研究が蓄積されており、日本の研究者が海外のPhD奨学金を検討する際の英語版参考資料としてアジアの完全給付型PhD奨学金ガイド(英語版)も活用できる。
中退後の進路──データが示す現実
中退後の進路についても、労働政策研究・研修機構の調査から傾向が明らかになっている。大学中退者の正規雇用への移行率は卒業者と比べて低い傾向にあり、特に「経済的困窮」や「学業不適応」を理由とした中退者は、離脱直後に就職活動の準備が不十分な状態で労働市場に出ることも多い。
ただし、「中退=終わり」ではない。転籍・編入学制度の活用、専門学校・短大への転進、通信制大学での再就学、社会人入学による大学への再入学など、日本の教育システムは複数の再接続ルートを提供している。中退を検討している段階にあるなら、退学届を提出する前にまず「休学」という選択肢も含めて学生支援部門に相談することが、選択肢を最大限に保つ実際的な行動となる。
休学期間を使って学習の立て直しを図る際、Tesifyのような学習支援ツールを活用して卒業論文や課題レポートの取り組みやすさを高めることも、学業継続の一手になりうる。
よくある質問(FAQ)
日本の大学中退率は何%ですか?
文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査」(2024年6月公表)によれば、大学(学部)の年間中退率は2.10%(中退者数56,710人)です。4〜6年間の在学期間を通じた累積中退率は約7%とされています(読売新聞「大学の実力」調査)。
大学を中退する理由で最も多いのは何ですか?
同調査では「転学等・進路変更等」が22.0%で最多です。次いで「学生生活不適応・修学意欲低下」(16.5%)、「就職・起業等」(14.4%)、「経済的困窮」(13.6%)と続きます。「転学等」は積極的なキャリアチェンジも含むため、すべてが困難型の中退ではありません。
大学中退は何年生が一番多いですか?
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、2年生が最多で全中退者の約31%を占めます。専門科目が本格化し、入学前の期待と実態のギャップが顕在化する時期と重なっています。4年生以上も28.1%と多く、卒業目前での離脱も無視できません。
大学中退者数は増えていますか?
直近3年間は増加傾向にあります。令和3年度48,694人→令和4年度52,459人→令和5年度56,710人と推移しており、中退率も1.79%→1.94%→2.10%と上昇しています(文部科学省調査)。ただし大学進学率も令和6年度に62.3%と過去最高を更新しており、分母の在学者数も増加していることに留意が必要です。
経済的理由での中退を防ぐにはどうすればよいですか?
JASSO(日本学生支援機構)の給付型・貸与型奨学金のほか、各大学が独自に設ける緊急給付制度や授業料免除・猶予制度を活用できます。まず在籍大学の学生支援部門に相談し、利用可能な制度を確認することが最初のステップです。早期に動くほど選択肢が広がります。
理系と文系で中退の傾向は違いますか?
JAIC「2023年度中退データ集」によれば、理系(理・工・農学系)では「学業不振・無関心」を理由とする中退が多く、文系(人文・教育系)では「家庭・経済的理由」による中退が多い傾向があります。中退のタイミングも、理系は2〜3年次、文系は3〜4年次に多い傾向です。
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