大学生の勉強時間データ2026|1日60分前後という実態と卒論期の時間の作り方
日本の大学生が授業以外に勉強する時間は、1日およそ60分である。この水準は日常の履修には足りても、卒論のようにまとまった作業を要する課題には明らかに不足する。卒論期の苦しさは怠慢ではなく、平常時の学習リズムと必要量の構造的な落差から生じている。
結論を先に言うと:授業外学習は1日60分前後で推移している。一方、2万字規模の卒論を12週で仕上げるには週10時間前後が要る。差は約2倍以上あり、卒論期は日常の延長ではなく別枠の時間設計が必要になる。なお卒論に限定した全国規模の作業時間統計は見当たらない。
大学生の勉強時間はどのくらいか?
継続的に公表されている代表的な調査が、全国大学生活協同組合連合会の学生生活実態調査である。第61回学生生活実態調査(2025年10〜11月実施、30大学生協・13,277人回答)によれば、授業以外の予習・復習にあたる大学での勉強時間は近年60分前後で推移している。
同調査が示す時系列上の要点は次のとおりである。
| 時点 | 1日あたりの勉強時間 | 背景 |
|---|---|---|
| 2019年 | 48.2分 | コロナ禍以前の水準 |
| 2021年 | 70.7分 | オンライン授業期のピーク |
| 近年 | 60分前後 | ピークから減少後、横ばいで推移 |
この数値は生協加入者を対象とした調査によるものであり、全大学生を無作為抽出した政府統計ではない。傾向を読む資料としては有用だが、母集団の性質は踏まえて解釈したい。
推移から何が読み取れるか?
2019年の48.2分から2021年の70.7分へという動きは、22分以上の増加である。オンライン授業では課題提出型の運用が増え、授業外で手を動かす時間が実質的に増えたと解釈できる。
注目すべきは、その後の減少が2019年水準までは戻っていない点である。対面授業に復帰した後も60分前後で推移しているということは、コロナ禍で定着した課題中心の運用が部分的に残っていることを示唆する。

読書時間はどうなっているか?
同じ第61回調査は読書時間も扱っており、こちらは勉強時間とは別の指標として読む必要がある。報告によれば、読書時間は2022年をピークに低下しており、読書する学生に限った1日あたりの平均は56分とされる。
ここで混同を避けたい点がある。56分は「読む人だけを対象にした有額平均」であり、読まない学生を含めた平均とは別の数値である。この二つを取り違えると実態を大きく誤って伝えることになるため、引用する際はどちらの平均かを必ず明記してほしい。統計を論文で引く際の作法は官公庁資料・白書・統計の引用と参考文献の書き方に整理している。
卒論との関係で言えば、読書時間の低下は文献読解のペース配分に直結する。先行研究を読む工程は、書く工程とは別に時間を見積もる必要がある。
卒論に必要な時間はどのくらいか?
ここで正直に述べておきたいことがある。卒業論文に限定した作業時間を継続的に公表している全国規模の統計は、確認できなかった。学習時間の調査は授業の予習・復習を対象としており、卒論だけを切り出した数値ではない。したがって以下は統計ではなく、分量からの逆算である。
仮に2万字の卒論を12週間で仕上げる場合を考える。
- 執筆——週あたり約1,700字。1時間で400字書けるとして週4時間強
- 文献読解——20本読むなら1本1.5時間として30時間、週2.5時間
- 調査・分析——手法によるが週2〜3時間
- 推敲・書式整備——終盤に集中するが均すと週1時間
合計すると週10時間前後、1日あたりに均せば約85分になる。授業外学習の平均が60分前後であることを踏まえると、卒論期にはそれとは別枠で時間を作る必要があることが分かる。分野ごとの分量の目安は論文の文字数の平均は?に整理してあるので、自分の要件に置き換えて計算してほしい。

落差をどう埋めるのか?
1日60分と週10時間の差は、気合いでは埋まらない。作業の性質で分けるのが現実的である。
| 作業 | 必要な集中 | 向いている時間帯 |
|---|---|---|
| 執筆・分析 | 高い | 2時間以上のまとまった枠を週2〜3回 |
| 文献読解 | 中程度 | 1時間程度の枠 |
| 文献整理・書式統一 | 低い | 移動中や授業の合間の細切れ時間 |
| 図表番号の点検 | 低い | 疲れている夜でも可 |
細切れ時間に執筆を割り当てると、書き出しに時間を取られて実質的に進まない。逆に、判断の要らない作業を貴重なまとまった枠で消化するのも損失である。作業と時間帯の対応を先に決めておくことで、同じ総時間でも進捗は変わる。
締切から逆算した週次計画の立て方は卒論スケジュールの立て方、工程ごとの道具の選び方は卒論の効率化ツール10選と週次ワークフローにまとめている。学生のAI利用の広がりについては大学生のAI利用割合は?を参照してほしい。
よくある質問
大学生の1日の勉強時間の平均はどのくらいですか?
全国大学生活協同組合連合会の第61回学生生活実態調査では、授業以外の予習・復習にあたる大学での勉強時間は近年60分前後で推移しているとされています。コロナ禍の2021年には70.7分まで伸び、2019年は48.2分でした。
卒論にかかる時間の平均データはありますか?
卒業論文に限定した作業時間を継続的に公表している全国規模の統計は見当たりません。本記事でも断定は避け、授業外学習時間のデータを近い指標として扱っています。分量から逆算して自分で見積もるほうが実用的です。
勉強時間が平均より短いと卒業できませんか?
平均は目安であって基準ではありません。ただし平均が1日60分前後という水準は、卒論のようにまとまった時間を要する課題には不足します。卒論期は日常の学習リズムとは別枠で時間を確保する必要があります。
読書時間のデータはどうなっていますか?
同じ第61回調査では、読書する学生に限った1日あたりの平均読書時間が56分とされ、2022年をピークに低下していると報告されています。これは読む人だけを対象にした有額平均であり、読まない学生を含めた平均とは別の数値です。
卒論期には1日どのくらい時間を取ればよいですか?
必要量から逆算します。仮に2万字を12週で書くなら週約1700字で、調査や推敲を含めると週10時間前後が一つの目安になります。分量と締切は学部で大きく異なるため、自分の要件に当てはめて計算してください。
まとまった時間が取れない場合はどうすればよいですか?
作業を種類ごとに分け、細切れ時間には文献整理や書式統一など判断の要らない作業を割り当てます。執筆や分析のように集中を要する作業だけを、週に数回のまとまった枠に確保するのが現実的です。
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