学位論文の引用・参考文献の書き方2026|博士論文・修士論文のSIST 02・APA記載例
学位論文の参考文献とは、博士論文・修士論文を情報源として引用する際に、著者名・論文題目・学位種別・授与機関・年をまとめた書誌情報である。書籍や雑誌論文と異なり、未公刊のまま所蔵大学にしか存在しない場合と、機関リポジトリやCiNii Researchで公開されている場合とで、記載すべき要素が変わる点に注意が必要である。
卒論・修論の先行研究として学位論文を引用する学生は多いが、「博士論文」「修士論文」という学位種別を書き忘れたり、授与機関を省略してしまったりする誤りがよく見られる。学位論文は査読を経た雑誌論文とは性質が異なるため、参考文献リスト上でも学位論文であることが分かるように明記するのが原則である。
本記事では、未公刊の学位論文と、機関リポジトリ・CiNii Researchで公開されている学位論文、それぞれのSIST 02・APA記載例を整理する。
要点:学位論文の参考文献は「著者名→論文題目→学位種別(博士論文/修士論文)→授与機関→年」を明記するのが共通ルール。機関リポジトリやCiNii Researchで公開されている場合は、末尾に入手先の名称・URL・参照日を付記する。SIST 02では発行年を末尾に、APAでは著者名の直後に置き、学位種別と授与機関は角括弧内に「[Doctoral dissertation, ◯◯大学]」のように記載するのがAPAの特徴である。

学位論文の参考文献は書籍・論文とどう違うのか?
書籍や雑誌論文は出版社や学術誌という第三者による刊行物だが、学位論文は大学・大学院が学位審査の一環として受理した論文であり、公刊された出版物とは性質が異なる。そのため参考文献リストでは、著者名や論文題目に加えて「博士論文」「修士論文」という学位種別と、学位を授与した大学名を必ず明記する。この二つの情報がないと、読者は当該論文が査読誌の論文なのか学位論文なのかを区別できない。
未公刊の学位論文はどう記載するのか?(SIST 02の場合)
入手先が存在しない未公刊の学位論文は、著者名・論文題目・学位種別・授与機関・年のみで書誌情報が完結する。SIST 02では発行年を末尾に置く形式が基本となる。
- 山田太郎. 深層学習を用いた画像認識精度の向上に関する研究. 博士論文, 東京大学, 2024.
- 佐藤花子. 地方自治体における住民参加型予算編成の効果分析. 修士論文, 京都大学, 2023.
機関リポジトリで公開されている学位論文はどう記載するのか?
学位論文が大学の機関リポジトリで公開されている場合は、基本の書誌情報に加えてリポジトリの名称・URL・参照日を末尾に付記する。日本では学位規則により、博士論文は原則としてインターネット上で公表することが求められており、多くの博士論文が機関リポジトリで閲覧可能になっている(内容によっては要旨のみの公表にとどまる場合もある)。
- 山田太郎. 深層学習を用いた画像認識精度の向上に関する研究. 博士論文, 東京大学, 2024. 東京大学学術機関リポジトリ, https://repository.example.ac.jp/xxxxx, (参照 2026-07-18).

CiNii Researchで見つけた学位論文はどう扱うのか?
従来、国内の博士論文は「CiNii Dissertations」というサービスで検索できたが、同サービスは2025年5月にCiNii Researchへ統合され、現在は学位論文の検索もCiNii Research上で行う運用になっている。CiNii Research経由で入手した学位論文を参考文献に記載する場合は、基本の書誌情報に加えて「CiNii Research」の名称と閲覧したURL、参照日を付記する。
- 山田太郎. 深層学習を用いた画像認識精度の向上に関する研究. 博士論文, 東京大学, 2024. CiNii Research, https://cir.nii.ac.jp/crid/xxxxxxxxxxxx, (参照 2026-07-18).
APAスタイルで学位論文を記載するときのルールは?
APA第7版では、著者名の直後に発行年を括弧書きで置き、論文題目をイタリック体で示したうえで、学位種別と授与機関を角括弧内に「[Doctoral dissertation, ◯◯大学]」「[Master’s thesis, ◯◯大学]」のように記載する。機関リポジトリで公開されている場合は、末尾にリポジトリ名とURLを追加する。
| 要素 | SIST 02 | APA第7版 |
|---|---|---|
| 著者名の位置 | 書き出し(姓, 名の順) | 書き出し(姓, イニシャル) |
| 論文題目の表記 | 『』または斜体 | イタリック体 |
| 学位種別・授与機関 | 「博士論文」「◯◯大学」を本文中に明記 | 角括弧内に「[Doctoral dissertation, ◯◯大学]」の形 |
| 発行年の位置 | 末尾(授与機関の後) | 著者名の直後(括弧書き) |
| 入手先の要否 | 公開時のみ末尾にURLと参照日 | 公開時のみ末尾にリポジトリ名とURL |
- Yamada, T. (2024). 深層学習を用いた画像認識精度の向上に関する研究 [Doctoral dissertation, 東京大学]. 東京大学学術機関リポジトリ. https://repository.example.ac.jp/xxxxx
学位の種類と授与機関はどう書けばいいのか?
学位種別は「博士論文」「修士論文」のように正確な名称で記載し、略称や口語表現(「D論」「修論」など)は参考文献リストでは使わない。授与機関についても、大学名だけでなく、専攻や研究科まで書誌情報として求める指導教員もいるため、所属研究室の慣例やジャーナルの投稿規定を事前に確認しておくと安全である。
よくある間違いは何か?
最も多い誤りは、学位論文であることを示す「博士論文」「修士論文」という表記を省略し、通常の雑誌論文と同じ書式で記載してしまうケースである。次に多いのが、未公刊の学位論文に対して存在しないURLを推測で記載してしまうケースである。入手先が確認できない場合は、無理にURLを付けず、著者名・論文題目・学位種別・授与機関・年の基本情報のみで記載するのが正しい対応である。
よくある質問
未公刊の学位論文は参考文献に書けますか?
書ける。著者名・論文題目・学位種別(博士論文/修士論文)・授与機関・年を明記し、入手先URLがない場合はそのまま省略してよい。ただし未公刊の学位論文は読者が原本を確認しにくいため、可能であれば引用箇所の該当ページも添えておくと親切である。
修士論文と博士論文で書き方は違いますか?
基本の書式は同じだが、学位種別の表記を「修士論文」「博士論文」のように正確に区別する必要がある。APAでは角括弧内に[Master’s thesis, ◯◯大学]・[Doctoral dissertation, ◯◯大学]のように学位種別ごとの表記が定められている。
CiNii Researchで見つけた学位論文はどう書けばいいですか?
基本の書誌情報に加え、末尾に「CiNii Research」の名称と閲覧したURL、参照日を付記する。旧CiNii Dissertationsは2025年にCiNii Researchへ統合されているため、現在は学位論文の検索もCiNii Research上で行う。
機関リポジトリのURLは必ず書く必要がありますか?
学位論文が機関リポジトリで公開されている場合は、URLと参照日を書くのが望ましい。未公刊で入手先が存在しない場合はURLの記載を省略し、代わりに所蔵大学・学位種別・年を正確に明記する。
学位論文のタイトルはイタリックにするのか、それとも『』で囲むのか?
SIST 02では『』または斜体のどちらでもよいとされることが多いが、リスト内で表記を統一する必要がある。APAではイタリック体で示すのが標準的なルールである。
