脚注での引用の書き方2026|番号方式(バンクーバー)とハーバード方式の違いと記載例

脚注での引用の書き方2026|番号方式(バンクーバー)とハーバード方式の違いと記載例

卒業論文・修士論文で脚注を使った引用の書き方に悩む学生は多い。本文末尾の括弧や著者名だけでなく、ページ下部に注を入れる「脚注引用」は、人文学・歴史学・法学・哲学系の論文で今も広く採用される形式だ。脚注 引用 書き方を正しく理解するには、「番号方式(バンクーバー方式)」と「ハーバード方式(著者名・年方式)」の違いをまず把握し、所属学部や指定スタイルに合わせて使い分けることが欠かせない。本記事では2026年時点の標準的な書式規則を、コピー可能な記載例とともに解説する。

ひとことまとめ

脚注での引用には、①文中の番号で文献を指示し脚注に完全書誌情報を記す番号方式(バンクーバー)と、②文中に「(著者名, 年)」を入れ脚注を補足説明に使うハーバード方式がある。人文系・法学系は番号方式が多数派。再出引用にはibid.(同上)・前掲書を使って簡略化できる。

脚注引用とは何か――本文注との違い

「脚注(footnote)」はページ下部に配置する注であり、「文末注(endnote)」は章末・論文末に置く注だ。どちらも文中に上付き数字(1)を挿入し、対応する番号のもとに文献情報や補足説明を記す点では共通しているが、読者がページをめくらずに参照できる脚注は、引用密度の高い人文学・法学・哲学系論文で特に好まれる。

一方、理工系・社会科学系では本文中に「(著者名, 出版年, ページ)」を挿入するインライン引用(著者—年方式)が標準であり、脚注は補足説明の用途にとどまることが多い。指導教員や学部の「論文執筆要項」で指定方式を必ず確認しよう。正しい本文中引用のルールについては論文の引用ルール完全ガイドで詳しく解説している。

番号方式(バンクーバー方式)による脚注の書き方

番号方式(バンクーバー)とハーバード方式の脚注引用スタイル比較図
番号方式(バンクーバー)とハーバード方式の脚注引用スタイルを図解で比較

番号方式は文中に通し番号を振り、対応する脚注に文献の完全な書誌情報を記す方式だ。日本の人文学系論文では最も普及している。医学系のバンクーバー方式(文末リスト型)と混同されやすいが、本記事では「本文番号+脚注に書誌情報」という形式全般を指す。

初出の書式例

脚注に記載する情報の順序は次のとおり。

単著(図書)の初出例:

¹ 山田太郎『学術論文の書き方』(東京大学出版会、2022年)、45頁。

雑誌論文の初出例:

² 佐藤花子「引用規則の変遷」『日本学術研究』第18巻第2号(2021年)、112–130頁、ここでは115頁。

翻訳書の初出例:

³ John Smith, Academic Writing (Oxford: Oxford University Press, 2019), p. 88.(邦訳:鈴木一郎訳『学術文章入門』、みすず書房、2020年、97頁)

再出(ibid.・同上)の書き方

直前の脚注と同じ文献を再び引用するときは、ibid.(ラテン語 ibidem の略:「同書・同論文の同ページ」の意)で省略できる。ページが異なる場合は ibid., p. XX. とページ番号を追記する。日本語論文では「同書」「同上」「前掲書」を用いる流儀もある。

ibid. を使った再出例:

⁴ 山田太郎、前掲書、67頁。
⁵ Ibid., p. 70.(同書67頁の直後で別ページを引用する場合)
⁶ Ibid.(前の注と同一ページの場合)

注意:ibid. が使えるのは直前の注と同一文献の場合のみ。2つ以上前の注を再引用する場合は「前掲書」「前掲論文」を使う(後述)。

ハーバード方式(著者名・年)による脚注の書き方

ハーバード方式(APA・MLA系の著者—年方式)では、本文中に「(著者姓, 出版年, p. XX)」を挿入し、参考文献リストに書誌情報をまとめる。この方式では脚注は文献情報ではなく補足説明や傍注の役割を担う点が番号方式と大きく異なる。

著者名・年の文中記載形式

本文中インライン引用(ハーバード方式):

山田(2022)は、学術引用の正確さが論文評価に直結すると指摘している(山田, 2022, p. 45)。

ハーバード方式での脚注記載例(補足説明):

¹ 一部の学部では「年, 著者」の順を採用するが、本稿では APA 第7版に倣い「著者, 年」の順に統一した。

ハーバード方式の脚注と参考文献リストの関係

ハーバード方式を採用した場合、文献の完全な書誌情報はすべて論文末の参考文献リストに集約し、脚注はあくまで本文の理解を助ける説明を入れる。詳しい参考文献リストの構成は参考文献の書き方完全ガイド(SIST 02・APA対応)を参照してほしい。

番号方式とハーバード方式の使い分け

比較項目 番号方式(脚注) ハーバード方式(著者—年)
本文中の表記 上付き数字(1) (著者, 年, p. XX)
文献情報の場所 脚注(またはページ下) 論文末の参考文献リスト
脚注の役割 書誌情報+補足説明 補足説明のみ
主な採用分野 人文学・歴史学・法学・哲学 社会科学・理工系・心理学
ibid. の使用 使用可 使用しない(本文に記載)
再出引用の省略 ibid.・前掲書 同じ括弧表記を繰り返す

指導教員や学部の執筆要項が最優先だ。指定がない場合は、人文系は番号方式(脚注)、社会科学・理工系はハーバード方式を選ぶのが無難な判断となる。

脚注番号の付け方――配置・記号・通し番号

脚注番号は、引用する語句・文章の末尾(句読点の直後)に上付き数字で挿入する。日本語論文では句読点の後に置く流儀が多い(例:「〜と指摘している。1」)。英語論文でも句読点の後が標準だ(例:「…indicated.1」)。

  • 通し番号方式:論文全体で「1, 2, 3…」と連番にする。最も一般的で推奨される方式。
  • 章ごとリセット方式:各章で「1」からリセットする。番号が多い長編論文や博士論文向き。
  • 記号方式:†(ダガー)・‡・§ などの記号を用いる。数字の注と区別したい場面で使う。

Word で脚注を挿入するには「参考資料」タブ→「脚注の挿入」を使うと番号が自動管理される。Google ドキュメントでは「挿入」→「脚注」から同様の操作が可能だ。どちらも脚注番号のずれや抜けを防ぐため、手動入力ではなく必ずこの機能を使うこと。

ibid.・前掲書・前掲論文の表記

脚注を多用する論文では、同一文献を繰り返し引用するケースが生じる。そのとき使うのが ibid.(英語)・「前掲書」「同書」(日本語)だ。正しく使うことで脚注が簡潔になり、読みやすさが向上する。

日本語論文での省略形まとめ:

状況 表記例
直前の注と同一文献・同一ページ ⁵ 同書、45頁。 / Ibid.
直前の注と同一文献・別ページ ⁶ 同書、67頁。 / Ibid., p. 67.
2つ以上前の注の図書を再引用 ⁷ 山田、前掲書、89頁。
2つ以上前の注の論文を再引用 ⁸ 佐藤、前掲論文、115頁。
同一著者の複数文献がある場合 ⁹ 山田、前掲書(2022年)、45頁。

注意:同一著者が複数の文献で初出している場合、「前掲書」だけでは特定できない。出版年や書名の一部(短縮形)を必ず付記しよう。なお、ibid. は慣例的にイタリック体で記す。

参考文献リストとの関係

脚注でのibid.・前掲書を使った再出引用の書き方イメージ図
脚注での再出引用:ibid.・前掲書を使った簡略表記の概念図

番号方式で脚注に完全書誌情報を記した場合でも、論文末に参考文献リストを別途作成するよう求める大学は多い。脚注と参考文献リストの役割の違いを整理しておこう。

  • 脚注:引用箇所ごとの個別記録。引用ページ番号を含む。補足説明と混在することもある。
  • 参考文献リスト:論文全体で参照したすべての文献を著者順(または番号順)に並べた一覧。ページ番号は含まず、雑誌論文は記事の掲載ページ範囲を記す。

ウェブサイトを脚注で引用した際の参考文献リストへの記載方法は、ウェブサイトの参考文献の書き方(SIST 02・APA別記載例)で確認できる。また、他の文献中で引用されていた原典(孫引き)を使う場合は記載方法が異なるため、二次引用(孫引き)の書き方を参照してほしい。

よくある誤りと対策

  1. ibid. の誤用:直前と異なる文献なのに ibid. を使う。→ 脚注を書く前に直前の注が同一文献かを必ず確認する。
  2. ページ番号の省略:図書を引用するときにページ番号を書かない。→ 直接引用・間接引用ともにページ番号を記す(雑誌論文は「pp. 112–130、ここでは115頁」のように特定ページも示す)。
  3. 初出と再出の書式混同:2回目以降も初出と同じ完全書誌情報を繰り返す。→ 再出は ibid. または「前掲書」で省略し、脚注を簡潔に保つ。
  4. 脚注番号の位置:引用開始箇所に番号を置く。→ 引用終了箇所(句読点の後)に置くのが標準。
  5. 方式の混在:番号方式とハーバード方式を一つの論文内で混用する。→ 執筆要項を確認し、論文全体で統一する。
  6. 略称「op. cit.」の過剰使用:op. cit.(opere citato:前掲)は、どの文献かが文脈から明確な場合のみ有効。複数文献が混在する箇所では「前掲書(年)」のほうが明確だ。

よくある質問(FAQ)

脚注と文末注はどう違いますか?

脚注(footnote)は各ページの下部に配置し、文末注(endnote)は章末または論文末にまとめる。読者がページをめくらずに参照できる脚注のほうが利便性は高いが、ページが込み合う場合は文末注が適することもある。どちらを使うかは分野のルールや執筆要項に従う。

ibid. はどのくらい連続して使えますか?

直前の脚注が同一文献である限り、連続して何回でも使える。ただし、別の文献の引用が挟まった後に同じ文献が再登場した場合は ibid. は使えない。その場合は「前掲書」または著者名+書名の短縮形を使う。

ウェブサイトを脚注で引用するにはどう書きますか?

脚注でのウェブサイト引用は「著者名「記事タイトル」サイト名、URL(閲覧日:年月日)。」の形が基本だ。例:山田太郎「学術引用の基礎」Tesify, https://ja.tesify.pro/(閲覧日:2026年6月28日)。著者不明の場合はサイト名を著者の代わりに記す。

脚注での引用にページ番号は必須ですか?

直接引用(テキストをそのまま抜粋する場合)は必須。間接引用(内容を自分の言葉で言い換える場合)も原則として記載する。ウェブサイトや電子書籍でページが存在しない場合は段落番号(para. 3)やセクション名で代替する。

理系論文でも脚注引用は使いますか?

理工系・医学系では本文中に [1] などの番号を挿入し、文末に参考文献リストをまとめる「バンクーバー方式(文末リスト型)」が主流だ。本文ページ下の脚注に文献情報を入れることは通例ない。脚注は補足説明に使う場合があるが、頻度は人文系より低い。

ハーバード方式の脚注には何を書けばよいですか?

ハーバード方式では本文中の括弧表記が引用を担うため、脚注は①本文の論点を補強する追加情報、②本文の流れを妨げる長い説明、③翻訳・用語の注釈などに使う。文献の完全書誌情報を脚注に入れるのはハーバード方式では標準的でない。

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