指導教員に「AIっぽい」と言われた論文の直し方2026|機械的な文章の7つの癖

「AIっぽい」という指摘の実体は、抽象度が高く具体性を欠き、どの分野にも当てはまる文章になっているという批判である。

この指摘を受けたとき、多くの学生は「バレた」と焦る。だが指導教員が問題にしているのは使ったかどうかではなく、多くの場合文章として中身が薄いことだ。実際、AIを一切使わずに書いた文章でも同じ指摘を受けることがある。焦って表面を言い換えるのではなく、指摘の実体を特定して直す必要がある。

「AIっぽい」文章の7つの癖とは?

指摘されやすい文章の癖と、その直し方
癖 典型的な表れ方 直す方向
抽象名詞の多用 「重要性」「必要性」「可能性」が段落ごとに出る 誰が何をするのかを動詞で書く
具体の欠如 数値・固有名詞・出典がない断定 先行研究の数値と出典を入れる
段落長の均一さ すべての段落が3〜4文で揃う 重要な論点の段落を厚くする
両論併記の反復 「一方で」「しかしながら」で毎回中立に着地 自分の判断を明示して締める
接続語の過剰 ほぼ全文が接続語で始まる 論理が自明な箇所は接続語を削る
語彙の平坦さ 分野の専門用語が使われない その分野の標準用語に置き換える
結論の空洞化 「今後さらなる研究が必要である」で終わる 何を誰がどう調べるかまで書く

7つのうち、卒論で最も重い減点につながるのは具体の欠如と結論の空洞化だ。この2つは文章の癖ではなく、研究の中身が詰まっていないことの表れとして読まれる。

抽象的な表現を具体的な記述に書き換える推敲の概念図
直す方向は一貫している。抽象名詞を動詞に開き、断定に数値と出典を付け、汎用句を固有の記述に置き換える。

どこから直せばいいのか?

手順1:指摘箇所の周辺だけでなく全体を診断する

教員が赤を入れた1段落だけを直しても、同じ癖は全体に散っている。まず、序論・考察・結論の3か所から各1段落を抜き出し、上の7項目でチェックする。3か所すべてに同じ癖が出ていれば、それが直すべき本丸だ。

手順2:抽象名詞を動詞に開く

最も効果が大きい単純な操作がこれだ。

修正前:本研究の重要性は、学習環境の変化に対する適応の可能性を検討する点にある。

修正後:本研究は、オンライン授業が定着した2020年代以降に学生の学習時間の配分がどう変わったかを、質問紙調査で検証する。

「重要性」「適応」「可能性」という抽象名詞が消え、誰が何を調べるのかが読める。文字数は増えるが、情報量はそれ以上に増える。

手順3:断定に数値と出典を付ける

修正前:近年、多くの大学生が生成AIを利用していると言われている。

修正後:大学生の生成AI利用は急速に広がっており、複数の国内調査が過半数の利用経験を報告している(◯◯, 2025)。

「言われている」は出典なき伝聞であり、学術文章では最も弱い表現だ。数値を入れる際は、その数値の出所を必ず確認する。AIに出させた文献をそのまま使うと別の問題が起きるため、実在確認の手順を踏むこと。

手順4:結論を行動可能な記述にする

修正前:今後さらなる研究が必要である。

修正後:本研究は単一大学の横断調査にとどまるため、複数大学を対象とした縦断調査によって、利用頻度と成績の因果関係を検証する余地が残されている。

「さらなる研究が必要」は、ほぼすべての論文に貼り付けられる汎用句だ。汎用句を消すだけで、文章の固有性は大きく上がる。

やってはいけない直し方

  • 類語置換ツールで単語だけ入れ替える。文構造が変わらないため癖は残り、しかも語彙が不自然になる。正しい言い換えのやり方で示した通り、言い換えは意味の再構成であって単語の交換ではない。
  • わざと文体を崩す。「だ・である体」を乱すと別の減点になる。文体の統一は維持したまま、内容の具体性を上げる。論文の文体ルールを確認しておきたい。
  • AI検出ツールの数値を下げにいく。検出ツールの判定は根拠が不透明で、誤検出も多い。仕組みは論文・レポートをAIで書くとバレる?で整理しているが、数値を下げること自体を目的にすると文章の質が落ちる。
論文の修正方針について指導教員と話し合う学生
「どの部分が具体性を欠いていましたか」と聞き返すほうが、否定するより早く指導を引き出せる。

指導教員にどう返せばよいか?

AIを使っていた場合は、隠さず開示するほうが結果的に安全だ。「下書きの整理にAIを使いましたが、構成と主張は自分で組み立てています。ご指摘の抽象度の問題を直しました」と、使った範囲と直した内容をセットで伝える。開示の書き方は論文でのAI利用を明記する方法に従うとよい。

使っていない場合も、防御的に否定するより「どの部分が具体性を欠いていましたか」と聞き返すほうが指導を引き出せる。多くの教員は、使用の有無より文章の改善に関心がある。

再発を防ぐ書き方

癖を根本から断つには、段落の最初の一文(トピックセンテンス)を自分の主張で書く習慣が効く。トピックセンテンスが具体的であれば、その段落全体が具体化する。書き方は論文のパラグラフライティングにまとめている。推敲の工程設計は論文をAIで推敲・添削する方法を参照してほしい。

よくある質問

AIを使っていないのに指摘されました。どうすればいいですか?

指摘の実体は文章の抽象度です。7つの癖でチェックし、具体性を上げてください。「使っていません」と主張するより、直した原稿を持っていくほうが早く解決します。

AI検出ツールで判定してから提出すべきですか?

推奨しません。検出ツールは誤検出が多く、人間が書いた文章を高スコアにすることもあります。数値ではなく、指導教員が読んで具体性を感じるかで判断してください。

直すのに何日かかりますか?

全体を診断して主要な3章を書き直す場合、2〜4日が目安です。抽象名詞の置き換えは1章あたり2〜3時間で終わりますが、数値と出典を補う作業に時間がかかります。

すべての段落を書き直す必要がありますか?

ありません。序論・考察・結論を優先してください。方法と結果の章は事実の記述が中心のため、もともと具体性が高く指摘されにくい部分です。

指摘を受けた事実は評価に響きますか?

指摘に応じて改善すれば、通常は響きません。むしろ指導を反映した改稿は評価されます。放置して提出した場合に問題になります。

具体性を上げながら書き進める

抽象的な文章は、根拠を手元に持たないまま書くと生まれる。Tesifyは、確認済みの文献と数値を参照しながら本文を組み立て、推敲まで同じ画面で進められるため、書きながら具体性を確保しやすい。書き上げたあとに具体性を足す作業より、書きながら埋めるほうが速い。

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