卒論・修論の謝辞の書き方2026|指導教員・共同研究者・家族への文例と順序
謝辞(しゃじ)は論文の末尾に置かれる、研究を支えてくれた方々への感謝の文章です。指導教員、副査、実験・調査の協力者、そして長期間を陰から支えてくれた家族——それぞれへの感謝を適切な順序と敬称で記すことが、学術的な礼儀として求められます。「謝辞の書き方がわからず後回しにしてしまう」という学生は少なくありませんが、査読教員が必ず目を通すページだからこそ、丁寧に仕上げることが大切です。
「指導教員と副査はどちらを先に書くの?」「家族を書いてもいいの?」「どんな表現が失礼にあたる?」——この記事では、こうした疑問に学部・修士それぞれの文例を交えながら、ステップごとに答えていきます。
- 配置:論文の末尾(付録・参考文献の後)。大学の規定を優先する
- 記載順序:①指導教員 → ②副査・審査委員 → ③共同研究者 → ④調査・実験協力者 → ⑤家族・友人
- 敬称:「○○先生」または「○○教授」。「○○様」は学術文書では不適切
- 分量の目安:学部論文 300〜500字、修士論文 500〜800字
謝辞の役割と位置づけ
謝辞は論文の学術的な本文とは別に設けられる、非公式な感謝のページです。研究の成果そのものとは直接関係ありませんが、指導教員や協力者への感謝を示すことで、研究が単独で成立したのではなく、多くの支援によって完成したことを明らかにします。日本の大学では多くの場合、謝辞を書くことが慣例となっており、提出を義務づけている研究科もあります。
また、謝辞は研究者コミュニティにおける礼節の表れでもあります。指導教員との長期的な関係、研究機関との縁、そして実験や調査にご協力いただいた方々への敬意は、簡潔な文章の中にでも誠実に表現することが大切です。
卒論の全体的な書き方については、卒論の書き方完全ガイド2026もあわせて参照してください。
配置位置
謝辞の配置位置は大学・研究科によって異なりますが、一般的なパターンは以下の2つです。
| パターン | 配置 | 備考 |
|---|---|---|
| 末尾型(多数派) | 本文→付録→参考文献→謝辞 | 文系・理系問わず最も一般的 |
| 前置き型(一部) | 表紙→謝辞→目次→本文 | 欧米スタイル寄りの研究科に見られる |
まずは指導教員か研究科事務室に確認するのが最善です。規定がない場合は末尾型を選べば無難です。
記載順序:誰を先に書くか
謝辞における記載順序は、関係性の「重要度と公式度」に基づくのが基本です。以下の順序を標準とし、各カテゴリ内は自然な流れで書いてください。
① 主指導教員(主査)
最も長期間にわたり直接指導を受けた教員を最初に記します。テーマ設定から最終審査まで伴走してくれた存在であり、謝辞の中心的な対象です。単に「ご指導いただいた」とするのではなく、具体的にどのような場面で助けを受けたかを一文添えると誠実さが伝わります。
② 副査・審査委員
修士論文の場合は副査(審査委員)も謝辞に記すのが一般的です。学部論文でも副査や発表審査員がいる場合は記載を検討しましょう。ただし副査については主査ほど詳しく書く必要はなく、1〜2文で感謝を述べれば十分です。
③ 共同研究者・ゼミ仲間
研究の一部を共に行ったゼミの仲間、研究室メンバー、またはデータ収集を手伝ってくれた同期や後輩がいる場合はここに記します。個人名を列挙するより「○○研究室の皆さん」「同期の皆さん」のようにまとめる方が簡潔です。
④ 調査・実験の協力者・機関
アンケートや実験に参加してくれた方、インタビューに応じてくれた方、データや資料を提供してくれた機関などを記します。個人情報保護の観点から、インタビュー協力者などは「(所属機関)の皆様」のように集合的に表現するのが適切です。
⑤ 家族・友人
家族や友人の存在を謝辞に書くことは、日本の卒論・修論では広く行われており、何ら問題ありません。ただし、学術的な文脈であることを意識し、あまりカジュアルになりすぎないよう注意が必要です。

敬称の正しい使い方
謝辞における敬称の使い方には一定のルールがあります。
- 指導教員・副査:「○○先生」または「○○教授」。「○○教授 先生」と重ねるのは避ける
- 「様」の使用:学術文書では原則として教員に「様」は使わない。「先生」が適切
- 研究機関・組織:「○○研究所の皆様」のように「様」を使用してよい
- 「諸氏」「諸兄」:現在は使いにくい表現となっているため、避けるのが無難
- 外国人教員:「Dr. ○○」「Professor ○○」など英語表記が自然な場合はそのまま使用可
文例:学部論文(卒論)
以下は卒論向けの謝辞の文例です。指導教員と実験・調査協力者、家族への感謝を盛り込んだ標準的な構成です。
本論文を作成するにあたり、終始丁寧なご指導とご鞭撻を賜りました○○大学○○学部の△△先生に、心より感謝申し上げます。研究テーマの設定から論文の細部にいたるまで、幾度となくご助言をいただきましたこと、深く感謝しております。
また、調査にご協力いただきました○○の皆様にも厚くお礼申し上げます。
最後に、四年間の学生生活を温かく支えてくれた家族に感謝します。
2026年○月 ○○○○
文例:修士論文(修論)
修士論文の謝辞は、学部に比べてやや長めに書くのが慣例です。副査の先生方や研究室メンバーへの言及も加えた文例を示します。修論全体の書き方については修士論文の書き方完全ガイド2026もあわせてご覧ください。
本研究を進めるにあたり、主指導教員として2年間にわたり懇切丁寧なご指導を賜りました○○大学大学院○○研究科の△△教授に、深く感謝申し上げます。研究の方向性が定まらず悩んでいた折にも、温かいお言葉と的確なアドバイスを賜り、研究を続ける力をいただきました。
審査委員をお引き受けいただきました□□教授および××教授には、論文審査を通じて数多くの貴重なご意見をいただきました。おかげをもちまして、論文の完成度を大幅に高めることができました。厚くお礼申し上げます。
また、日々の研究活動を共にし、多くの議論と励ましをくださいました△△研究室の皆さんにも心より感謝いたします。
インタビュー調査にご協力いただきました○○機関の皆様、アンケートにお答えいただきました皆様にも、改めてお礼申し上げます。
最後に、大学院での研究生活を経済的にも精神的にも支えてくれた両親と家族に、深く感謝します。
2026年○月 ○○○○

避けるべき表現と注意点
謝辞は簡潔で誠実な文章が理想的です。一方、次のような表現や構成には注意が必要です。
表現上の注意
- 過度に長い謝辞:1,000字を超える謝辞は学術的な場では読まれにくくなります。学部は400字前後、修士は700字前後を目安に
- 「拙い論文ですが」「至らぬ点も多いかと存じますが」:いわゆる謙遜の決まり文句は、近年の指導現場では「内容を自ら貶める」として避けるよう指導されるケースが増えています
- 感情的になりすぎる表現:「本当につらかったです」のような私的すぎる表現は、論文全体の学術的な雰囲気を損ないます
- 「○○先生等」の「等」:教員名への「等」は礼儀に欠ける表現です。複数人を列挙するか、「皆様」とまとめましょう
書き忘れを防ぐチェックリスト
- □ 主指導教員の氏名・所属・敬称が正確か
- □ 副査の先生のお名前に漏れはないか
- □ 実験・調査協力者への感謝を忘れていないか
- □ 日付・氏名を入れたか
- □ 大学・研究科の提出規定(配置位置・字数制限)に従っているか
論文の本文と同様に、謝辞も丁寧に推敲することが大切です。序論(はじめに)の書き方と合わせて、論文全体の統一感も意識してください。また、考察の書き方に悩んでいる方は論文の考察(ディスカッション)の書き方2026も参考にしてみてください。
よくある質問
謝辞はどこに配置するのが正しいですか?
ほとんどの日本の大学では論文末尾(付録・参考文献の後)に配置します。ただし研究科によっては表紙の直後に置く規定もあります。提出前に必ず指導教員か研究科事務局に確認しましょう。規定がなければ末尾型が無難です。
謝辞の字数はどれくらいが適切ですか?
卒業論文(学部)では300〜500字、修士論文では500〜800字が一般的な目安です。大学・研究科によっては字数制限が設けられていることもありますので、まず規定を確認してください。極端に長い謝辞(1,000字超)は読まれにくく、内容の薄さが目立つことがあります。
家族を謝辞に書いても良いですか?
はい、問題ありません。日本の卒論・修論の謝辞では、家族や友人への感謝を最後に一文添えるのは一般的な慣例です。ただし、学術論文の文脈に合わせ、カジュアルになりすぎないよう「温かく支えてくれた家族に感謝します」程度の簡潔な表現にとどめるのが適切です。
副査の先生を謝辞に書く必要がありますか?
修士論文では副査(審査委員)を謝辞に記すのが一般的なマナーとされています。直接の指導は受けていなくても、論文審査で貴重な意見をいただいた場合は記載しましょう。学部論文の場合は任意ですが、発表審査に関わった教員がいれば記載しておくのが丁寧です。
謝辞に「ご指導ご鞭撻」という表現は古いですか?
「ご指導ご鞭撻」は今でも論文謝辞で広く使われる正式な表現であり、使用して問題ありません。ただし、単なる決まり文句にならないよう、具体的にどのような指導を受けたかを一文添えると誠実さが伝わります。「〇〇についてのご助言」など、内容を少し具体化するのがおすすめです。
謝辞にページ番号は必要ですか?
ページ番号の扱いも大学・研究科によって異なります。謝辞をローマ数字(i、ii…)でナンバリングする場合、本文と連番にする場合、ページ番号を付けない場合の3パターンがあります。提出規定を確認し、規定がなければ指導教員に相談するのが最善です。
