Zotero vs Mendeley 徹底比較2026|文献管理ソフトはどっちを選ぶ?
卒業論文や修士論文を書き始めると、参考文献リストはあっという間に数十本を超え、Wordへの手入力では限界を感じる。そこで必ず名前が挙がるのが ZoteroとMendeley ──文献管理の2強だ。どちらも無料で始められるが、クラウドストレージの容量・引用スタイルの対応数・PDF管理の使い心地は大きく異なる。この記事では Zotero Mendeley 比較 の核心をデータで整理し、あなたの研究スタイルに合った一択を明示する。
引用スタイルの豊富さ・オープンソースの透明性・オフライン対応を優先するなら Zotero。無料クラウド容量の多さ・ElsevierのScopus連携・グループ共同作業を重視するなら Mendeley。どちらも無料で試せるため、30日間ずつ使い比べるのが最善の判断方法だ。
基本スペック比較表
まず全体像を把握するため、2026年時点の主要スペックを一覧にまとめる。細かな差異はこの後の各セクションで掘り下げる。
| 比較項目 | Zotero | Mendeley |
|---|---|---|
| ライセンス | オープンソース(AGPL) | プロプライエタリ(Elsevier) |
| 無料クラウドストレージ | 300 MB | 2 GB |
| 有料プラン | 2 GB〜(年間$20〜) | なし(無料一本) |
| 引用スタイル数 | 9,000以上 | 約3,000 |
| Wordプラグイン | ◎ Zotero Connector | ◎ Mendeley Cite |
| Google Docs 連携 | ◎(完全対応) | △(機能限定) |
| 内蔵PDFリーダー | ◎(デスクトップ・完全無料) | ○(ウェブアプリ内) |
| オフライン使用 | ◎ | △(ウェブ依存) |
| 対応OS | Windows / Mac / Linux | Windows / Mac のみ |
| グループライブラリ | ○(無料枠内で共有) | ◎(2 GB共有) |
| Scopus・Elsevier連携 | △ | ◎(ネイティブ統合) |
| AI支援機能 | サードパーティ拡張で対応 | Reading Assistant(5回/日・無料) |
| WebDAV自前拡張 | ◎(ほぼ無制限) | × |
無料プランのストレージと制限
ZoteroとMendeleyの最も目立つ差は、無料クラウドストレージの容量だ。
Zotero の300 MB枠とWebDAV拡張
Zoteroの無料枠は300 MB。書誌データ(タイトル・著者・DOI・雑誌名など)自体はストレージ制限なしでサーバーに同期できるが、PDFなどの添付ファイルがこの300 MBを消費する。論文PDF一本あたり平均2〜3 MBとすると、100〜150本前後で上限に達する。
ただし、Zoteroの最大の強みはここにある。WebDAVサーバーをファイル同期先に指定できるため、たとえばNextcloudや各大学が提供するWebDAVサービスを使えば、コスト無しでストレージをほぼ無制限に拡張できる。設定に10〜15分かかるものの、一度構築すれば以後のメンテナンスはほぼ不要だ。追加容量を購入する場合でも、2 GBプランが年間$20程度から用意されている。
Mendeley の2 GB無料枠
Mendeleyの無料枠は2 GBと、Zoteroの約6倍の容量がある。グループライブラリの共有枠も含めて2 GBが割り当てられており、数百本のPDFを追加費用ゼロで保管できる。設定不要ですぐに使い始められるため、設定の手間を省きたいユーザーにはMendeleyが選ばれやすい。
ただし注意点がある。Elsevier社は2024年にMendeleyデスクトップアプリのサポートを終了し、現在はウェブアプリのMendeley Reference Managerへ一本化している。完全なオフライン利用は事実上できなくなっており、ネットワーク環境が不安定な図書館や海外調査先では制約を感じる場面がある。
文献インポートと書誌情報の精度
文献管理ソフトの実力は「どれだけ正確に書誌情報を自動取得できるか」で決まる。手入力が必要な項目が多ければ、管理ソフトを使う恩恵が半減する。
Zotero Connector ─ CiNii・J-STAGEに強い
Zotero ConnectorはChrome・Firefox・Edgeに対応したブラウザ拡張だ。CiNii Research・J-STAGE・PubMed・Google Scholarなど、主要な学術データベースのほぼすべてに対応しており、論文の詳細ページを開いた状態でアイコンをクリックするだけで書誌情報が自動入力される。タイトル・著者名・雑誌名・発行年・DOI・巻号・ページ番号が一括取得されるため、手修正がほとんど不要だ。日本語文献のCiNii対応が充実しており、和文論文を多く扱う学部生・大学院生から特に支持されている。
Mendeley Web Importer ─ Elsevier系に最強
MendeleyのWeb ImporterもChromeに対応している。ScopusおよびElsevierが発行するジャーナル(Cell、Lancet、Journal of Finance系など)のページでは精度が群を抜く。ElsevierのAPIと直結しているため、取得ミスがほとんど生じない。一方、CiNii・J-STAGEといった日本固有データベースへの対応はZoteroに劣り、和文論文では手動修正が必要な場合がある。
引用スタイルの数で圧倒するZotero
引用スタイルの対応数はZoteroが9,000以上とMendeleyの約3,000を大幅に上回る。日本学術会議・各学会誌固有のスタイルや、ニッチな欧州学術誌のフォーマットにも対応しやすい。APA・MLA・Vancouverといった主要スタイルはどちらも問題なく使えるが、指定スタイルが特殊な場合はZoteroが圧倒的に有利だ。
SIST 02やAPA第7版の実際の書式については、「参考文献の書き方完全ガイド|SIST 02・APA対応【2026年版】」で詳しく解説している。
PDF管理・注釈機能の違い
論文PDFの管理と注釈機能は、日常的な使い心地を左右する重要ポイントだ。
Zotero 内蔵PDFリーダー
ZoteroはデスクトップアプリにPDFリーダーを内蔵しており、ハイライト・コメント・フリーテキスト注釈が完全に無料で使える。注釈はZoteroのデータベースに保存されるため、別のデバイスで同じ文献を開いても注釈が自動同期される。モバイルアプリ(iOS・Android)でも文献リストの閲覧と簡単なメモが可能だ。オフラインで図書館の閲覧PCを使う場面でも、インターネット不要で注釈を付け続けられる。
Mendeley PDF閲覧とReading Assistant
MendeleyはウェブアプリのMendeley Reference Manager内でPDF閲覧・ハイライトに対応している。さらに、AI機能「Reading Assistant」を使えば、PDFの内容についてAIに質問し要点を把握できる(無料プランは5回/日)。ただし、2024年のデスクトップアプリ廃止後、かつてMendeley Desktopで使えていた高度なアノテーション機能の一部はウェブ版では利用できなくなっている。長年のMendeleyユーザーからは、移行後の機能低下を指摘する声が複数確認されている。

Word・Google Docs 連携(CWYW)
論文執筆の現場では、Wordで書きながら引用を挿入する「Cite While You Write(CWYW)」機能の使いやすさが生産性を直接左右する。
Zotero for Word と Google Docs
ZoteroのWordプラグインはWindows・Mac・LibreOfficeに対応しており、インストール後すぐに使い始められる。文中に脚注・インライン引用を挿入し、論文末尾の参考文献リストをワンクリックで自動生成できる。とりわけ重要な点として、Google Docsとの完全連携を実装している。クラウド上で共同編集しながら引用を管理したいケースでは、ZoteroがMendeleyに対して決定的なアドバンテージを持つ。
Mendeley Cite for Word
Mendeley CitはWord用アドインとして提供され、Windows・MacのMicrosoft Wordで動作する。検索インターフェースはシンプルで、初めてCWYWを使う学部生にも直感的と評判が高い。ただしGoogle Docsへの対応は限定的で、共同執筆環境では動作が不安定なケースが報告されている。ゼミや研究室でGoogle Docsを共有して論文を書く場面では、Zoteroを選んだ方がトラブルが少ない。
クラウド同期とデバイス対応
研究者が研究室・自宅・図書館と複数の場所で作業する現代では、クラウド同期の信頼性がワークフローの安定性に直結する。
Zoteroの同期は書誌データ同期(無制限・無料)とファイル同期(PDFなど・300 MB無料枠)に明確に分かれている。書誌データは常に無料で全デバイスに同期され、PDFの同期だけが容量制限の対象だ。Windows・Macに加えてLinuxにも完全対応している点は、理工系・情報系の大学院生に特に支持されている理由でもある。
Mendeleyは書誌データとPDFを2 GBのクラウド上で一元管理する。設定がシンプルで、サインインするだけで複数デバイス間の同期が始まる。ただし前述のとおりデスクトップアプリが廃止されており、メインの操作画面はウェブアプリとモバイルアプリに限られる。インターネット接続が前提となるため、回線品質が不安定な環境では同期エラーが発生しやすい点に注意が必要だ。
用途別おすすめ早見表
どちらが「正解」かは研究スタイルと優先事項によって異なる。以下の早見表で判断しよう。
| あなたの状況・優先事項 | おすすめ | 決め手 |
|---|---|---|
| 卒論・修論で日本語文献(CiNii)が中心 | Zotero | CiNii・J-STAGE対応が充実 |
| 大量のPDFを無料クラウドに保存したい | Mendeley | 2 GB無料ストレージが圧倒的 |
| Elsevier系ジャーナルを多用する | Mendeley | Scopusとのネイティブ連携 |
| Google Docsで複数人と共同執筆 | Zotero | Mendeleyは非対応 |
| Linux環境で使いたい | Zotero | Mendeleyは非対応 |
| ゼミ・研究室でグループ共有したい | Mendeley | 2 GB共有グループライブラリ |
| 学会固有スタイルなどニッチな引用形式が必要 | Zotero | 9,000以上のスタイルライブラリ |
| 長期的なデータ所有・プライバシーを重視 | Zotero | オープンソース・商業リスクなし |
| 設定なしで今すぐ手軽に始めたい | Mendeley | サインアップ即利用可能 |
ZoteroやPaperpileなどのAI対応文献管理ツールをより詳しく比較した英語記事は、tesify.appの「Best AI Reference Managers in 2026: Paperpile vs Zotero vs Tesify AutoBib」(英語)も参考になる。
よくある質問
ZoteroとMendeleyは同時に使えますか?
技術的には両方インストールして使い分けることはできるが、Wordの引用プラグインを切り替えると書誌フィールドが競合し、書式崩れの原因になる。一本の論文では必ずどちらか一方に統一することを強く推奨する。ツールを切り替える際はRIS形式のエクスポート・インポートで書誌データを移行できる。
Zoteroのストレージを無料のまま増やす方法はありますか?
WebDAVサーバーをZoteroのファイル同期先に指定することで、費用なしでストレージをほぼ無制限に拡張できる。設定方法はZotero公式ドキュメント(zotero.org/support/sync)に記載されている。なお書誌データ(PDFを除くメタデータ)はZoteroのサーバーへ容量制限なしで無料同期されるため、PDFだけを外部WebDAVで管理するのが最もコスト効率の良い構成だ。
Mendeleyのデスクトップアプリは2026年も使えますか?
Elsevier社は2024年にMendeley Desktop(旧デスクトップアプリ)のサポートを終了し、現在はMendeley Reference Manager(ウェブアプリ)に一本化している。旧アプリのインストーラーは公式配布が終了しており、今後は新しいウェブアプリのみが公式サポートの対象だ。オフライン作業が多い場合は、デスクトップアプリを引き続き提供しているZoteroが適している。
CiNiiで見つけた文献をZoteroに取り込む方法は?
ZoteroのブラウザアドインをインストールしたChromeでCiNii Researchの論文詳細ページを開き、アドレスバー横のZoteroアイコンをクリックするだけで書誌情報が自動取得できる。複数件を一括インポートする場合は、CiNiiの検索結果ページでRIS形式またはBibTeX形式でエクスポートし、Zoteroの「ファイル→インポート」から読み込む方法も使える。
ZoteroとMendeley、どちらがAPA第7版に対応していますか?
両者ともAPA第7版(APA 7th Edition)に対応している。Zoteroはスタイルリポジトリから「American Psychological Association 7th edition」をダウンロードして即設定できる。Mendeleyも同スタイルを標準収録している。日本語著者名の姓名順など細かい日本語対応ではZoteroのコミュニティ製カスタムスタイルが充実しており、和文論文が多い場合はZoteroがやや有利だ。
文献管理ソフトとAI論文執筆ツールは組み合わせて使えますか?
組み合わせて使うのがベストプラクティスだ。ZoteroまたはMendeleyで収集・整理した参考文献リストをRIS・BibTeX形式でエクスポートし、AI論文執筆アシスタントのTesifyに情報を渡すことで、章立ての提案から各節の初稿生成まで一貫したワークフローを構築できる。文献整理ツールと執筆支援AIを分業させると、それぞれの強みを最大限に活かせる。
Tesifyとの組み合わせで論文執筆を加速
ZoteroやMendeleyで文献を整理できたら、次のステップは「その文献を論文の本文に落とし込む」作業だ。文献リストを眺めながら白紙の原稿に向き合う時間を大幅に短縮できるのが、AIで卒業論文・修士論文の初稿を作成するサービス Tesify だ。
Tesifyは論文テーマ・章立て・参考文献情報を入力するだけで、AIが本文の構成案と各節の初稿を生成する。文献管理ソフトで蓄積した書誌データをTesifyと組み合わせることで、「文献検索→整理→執筆」のサイクルを格段に効率化できる。論文の独自性を保ちながら執筆スピードを上げたい大学院生に特に適したワークフローだ。
Google Scholarを使った効率的な文献収集については「Google Scholarの使い方ステップ完全マニュアル2026」もあわせて確認してほしい。
