学振特別研究員の採用率データ2026|DC1・DC2・PD の区分別実績
日本学術振興会(JSPS)特別研究員の採用率は、区分によって10ポイント以上の差がある。JSPSが公表する申請者数・採用者数データから算出すると、令和8(2026)年度採用分はDC1が約11.2%、DC2が約11.9%、PDが約22.9%で、応募者層が絞られるPDの採用率が明確に高い。本記事ではJSPS「特別研究員 採用状況」「特別研究員 申請状況」の公表データをもとに、令和8年度と令和7(2025)年度の採用率を区分別に整理する。
結論を先に。 JSPS公表データ(申請者数・採用者数)から算出すると、令和8(2026)年度採用分の採用率はDC1約11.2%(634名/5,637名)、DC2約11.9%(1,026名/8,609名)、PD約22.9%(354名/1,544名)。前年度の令和7(2025)年度はDC1約14.3%、DC2約14.7%、PD約23.9%で、DC1・DC2は低下、PDはほぼ横ばいという推移になっている。
学振特別研究員(DC1・DC2・PD)とは
日本学術振興会特別研究員制度は、優れた若手研究者に対して研究奨励金(生活費相当)と研究費を支給し、研究に専念できる環境を提供する制度。DC1は博士課程1年次(3年間採用)、DC2は博士課程2・3年次相当(2年間採用)、PDは博士の学位取得後の研究者(原則3年間採用)を対象とする区分で、それぞれ独立して申請・選考が行われる。
本記事のデータの出典と算出方法
本記事の数値は、JSPSが公式サイトで公表している「申請状況」ページの区分別申請者数と、「採用状況」ページの区分別採用者数を突き合わせ、採用率=採用者数÷申請者数として算出したもの。JSPSが公表する採用率の表記と本記事の算出値がわずかに異なる場合は、四捨五入の桁数の違いによるものであり、本記事では計算過程を明記して透明性を確保している。
令和8(2026)年度採用分の採用率
令和8(2026)年度採用分は、2025年9月に第一次選考結果、同年12月に第二次選考結果がJSPSから発表されており、申請者数・採用者数はすでに確定している。区分別の内訳は次の通り。
| 区分 | 申請者数 | 採用者数 | 採用率(採用者数÷申請者数) |
|---|---|---|---|
| DC1 | 5,637名 | 634名 | 約11.2% |
| DC2 | 8,609名 | 1,026名 | 約11.9% |
| PD | 1,544名 | 354名 | 約22.9% |
出典:日本学術振興会「申請状況|特別研究員」「採用状況|特別研究員」(令和8(2026)年度採用分)。採用率は申請者数・採用者数から本記事で算出。

DC2の申請者数(8,609名)がDC1(5,637名)を上回っている点は一見意外に映るかもしれないが、DC2は博士課程2・3年次相当という対象学年の幅がDC1より広く取られていることが背景にあると考えられる。一方でPDの申請者数は1,544名とDC1・DC2の3分の1以下にとどまり、採用率は約22.9%とDC1・DC2の2倍近い水準になっている。
令和7(2025)年度との比較
前年度にあたる令和7(2025)年度採用分の区分別データは次の通り。
| 区分 | 申請者数 | 採用者数 | 採用率(採用者数÷申請者数) |
|---|---|---|---|
| DC1 | 4,959名 | 708名 | 約14.3% |
| DC2 | 7,444名 | 1,092名 | 約14.7% |
| PD | 1,519名 | 363名 | 約23.9% |
出典:日本学術振興会「申請状況|特別研究員」「採用状況|特別研究員」(令和7(2025)年度採用分)。採用率は申請者数・採用者数から本記事で算出。
令和7年度から令和8年度にかけて、DC1は約14.3%から約11.2%へ、DC2は約14.7%から約11.9%へ、それぞれ3ポイント前後低下している。一方PDは約23.9%から約22.9%と1ポイント程度の低下にとどまり、DC1・DC2に比べて変動が小さい。
なぜPDの採用率はDC1・DC2より高いのか
PDの採用率がDC1・DC2より高い背景には、応募資格の違いがある。PDは博士の学位を取得済みの研究者に限定される区分で、申請者数自体がDC1・DC2の3分の1以下と少ない。応募者層がすでに学位取得というハードルを越えた集団に絞られていることが、採用率の高さにつながっていると考えられる。ただし審査基準がPDの方が緩いという意味ではなく、対象とする研究者のキャリア段階と母集団の性質が異なる別区分として捉える必要がある。
年度間の推移から読み取れること
令和7年度から令和8年度にかけて、DC1・DC2の採用率が3ポイント前後低下した一方、申請者数はDC1が4,959名から5,637名、DC2が7,444名から8,609名へと、いずれも1,000名前後増加している。採用者数の増加幅(DC1は708名→634名で減少、DC2は1,092名→1,026名で減少)が申請者数の増加に追いついておらず、これが採用率低下の直接的な要因になっている。PDは申請者数がほぼ横ばい(1,519名→1,544名)で、採用率の変動も小さい。
参考|RPD(出産・育児等による研究中断からの復帰者対象)の採用率
DC1・DC2・PDとは別に、出産・育児等により研究を中断した研究者の復帰を支援するRPD(特別研究員-RPD)という区分もある。JSPS公表データから算出すると、令和8(2026)年度採用分はRPDの申請者数161名に対し採用者数68名で、採用率は約42.2%。令和7(2025)年度は申請者数189名に対し採用者数66名で、採用率は約34.9%だった。RPDはDC1・DC2・PDと対象・目的が異なる区分であり、申請者数自体が少なく年度による変動も大きいため、単純にDC1・DC2・PDの採用率と並べて比較する数字ではない点に留意したい。
データを読む際の注意点
採用者一覧は各年度の4月1日時点の内容であり、その後の就職等による中途辞退や、DC採用者の学位取得によるPDへの資格変更などが生じている場合がある点に注意したい。また、本記事の採用率は区分全体の合計値から算出したものであり、JSPSが公表する分野別(人文学・社会科学・数物系科学など9分野)の内訳では、区分内でも分野によって採用率に差が生じている。分野別の詳細を確認したい場合は、JSPS「申請状況」「採用状況」の各ページで公表されている分野別内訳を直接参照してほしい。
学振の採用率は科研費の採択率ともしばしば比較されるが、対象とする研究者の属性(学振は博士課程学生・ポスドクが中心、科研費は幅広い研究者層)が異なるため、単純に並べて優劣を語るのは適切ではない。科研費の採択率の推移は科研費の採択率データの記事で、博士課程修了後の就職・進路データは博士課程修了者の就職・進路データの記事で確認できる。学振DC1・DC2の申請要件・締切・書類については、学振特別研究員(DC1・DC2)申請ガイドを参照してほしい。研究計画書の下書きを整理する段階でTesifyのようなAIライティング支援ツールを併用する研究者もいる。海外(英国)のPhD向け給付型奨学金の仕組みを比較したい場合は、PhD Funding UK 2026: Scholarships, UKRI Studentships & Grants Guideも参考になる。
よくある質問
Q. 学振特別研究員の採用率は何%ですか?
日本学術振興会(JSPS)公表データから算出すると、令和8(2026)年度採用分はDC1が約11.2%(採用634名/申請5,637名)、DC2が約11.9%(採用1,026名/申請8,609名)、PDが約22.9%(採用354名/申請1,544名)。区分によって10ポイント以上の差がある。
Q. なぜPDの採用率はDC1・DC2より高いのですか?
PDは博士の学位を取得済みの研究者を対象とする区分で、応募者層がDC1・DC2より絞られている。応募者数自体がDC1・DC2の3分の1以下と少ないことが、採用率が20%台前半と相対的に高い水準になる一因と考えられる。
Q. 令和8年度の採用率データはもう公表されていますか?
公表されている。令和8(2026)年度採用分の特別研究員は、2025年9月に第一次選考結果、同年12月に第二次選考結果がJSPSから発表されており、申請者数・採用者数のデータも公式サイトで確認できる。
Q. 令和7年度から令和8年度にかけて採用率はどう変化しましたか?
DC1・DC2はいずれも低下している。DC1は約14.3%から約11.2%、DC2は約14.7%から約11.9%に下がった。一方PDは約23.9%から約22.9%とほぼ横ばいで、区分間の低下幅に差が見られる。
Q. RPDの採用率はDC1・DC2・PDと単純に比較できますか?
できない。RPDは出産・育児等による研究中断からの復帰者を対象とする区分で、対象者の母集団の性質がDC1・DC2・PDと大きく異なる。申請者数も161〜189名規模と少なく、年度による変動も大きいため、参考情報として捉えるのが適切。
まとめ
学振特別研究員の採用率は、DC1・DC2が11〜12%台、PDが22〜23%台と、区分によって10ポイント以上の開きがある。令和7年度から令和8年度にかけてDC1・DC2の採用率は申請者数の増加を上回るペースで採用者数が伸びず低下した一方、PDはほぼ横ばいで推移した。申請を検討する際は、区分ごとの採用率の水準だけでなく、自分が対象となる区分の年度推移をJSPSの一次資料で確認することが実務的だ。
参考:学振特別研究員(DC1・DC2)申請ガイド2026|採用までの要件・締切・書類、科研費の採択率 最新データ2026|種目別・分野別の採択率推移と申請の実態、博士課程修了者の就職・進路データ2026|アカデミア/民間の割合とポスドク問題を数字でもあわせて参照してほしい。
