引用文献と参考文献の違い2026|使い分けの基準とリストの作り分け(SIST 02・APA別)

引用文献と参考文献の違い2026|使い分けの基準とリストの作り分け(SIST 02・APA別)

レポートや論文の末尾に文献リストを作るとき、「引用文献」と「参考文献」のどちらの見出しを使えばよいか迷う人は多いはずだ。両者は似た言葉だが、本文中でどう扱われた文献を指すかという点で明確な違いがある。この違いを理解しないまま見出しを選ぶと、査読や指導教員のチェックで「リストの範囲が本文と一致していない」と指摘されることになりかねない。引用文献と参考文献の違いを正しく押さえ、SIST 02・APAそれぞれの流儀に沿ってリストを作り分ける方法を整理する。

要点:「引用文献」は本文中で直接引用(「」で囲む、またはカギカッコ・字下げで示す)または間接引用(要約・言い換え)として実際に言及した文献を指す。「参考文献」はそれに加えて、執筆にあたって参照したが本文中で直接は触れていない文献も含む、より広い概念だ。本文で言及した文献だけをリスト化するなら見出しは「引用文献」、背景知識として使った文献も含めるなら「参考文献」を選ぶ。APAでは前者に相当する「References」のみを作成するのが原則で、両者を分けて併記する慣行は基本的にない。

引用文献とは何か

引用文献とは、本文中で著者が実際に取り上げた文献のことだ。取り上げ方には二種類ある。ひとつは直接引用で、原文の文章をそのままカギカッコで囲んだり、長い引用であれば段落を字下げして転記したりする方法。もうひとつは間接引用(パラフレーズ)で、他者の主張や結論を自分の言葉で要約し、末尾や文中に出典を示す方法だ。いずれの場合も、本文の該当箇所に著者名・年(またはSIST 02方式では引用番号)を明示し、対応する書誌情報を文末のリストに記載する。引用文献リストに載る文献は、必ず本文のどこかで名指しされている必要がある。

参考文献とは何か

参考文献とは、執筆の過程で内容を理解するために読んだが、本文中で直接引用も要約も行っていない文献を含む、より広い括りの言葉だ。たとえば、テーマの全体像をつかむために読んだ入門書や、研究の位置づけを確認するために目を通した関連論文などが該当する。日本語の卒業論文・修士論文では「参考文献」という見出しが引用文献も含めた総称として使われることが多く、英語圏のAPAスタイルにおける「Reference List(本文引用文献のみ)」とは範囲の考え方が異なる点に注意したい。

引用の仕方と参考文献一覧の書き方を解説する動画(西南学院大学ラーニングサポートセンター)

引用文献と参考文献の違い一覧

項目 引用文献 参考文献
本文中の扱い 直接引用または間接引用で必ず言及される 言及の有無を問わない(未言及も含む)
リストとの対応 本文の引用箇所と一対一で対応 対応関係を厳密には問わない
APAでの扱い Reference Listとしてこれのみ作成 原則として別立てで作らない
SIST 02での扱い 「引用文献」の見出しで番号順・著者順に整理 「参考文献」として別立ても可能(分野の慣行に従う)
用途の例 先行研究の主張を要約・反論する箇所 背景理解のために読んだ概説書

使い分けの基準

実務上の判断基準はシンプルだ。まず、本文中のどこかにその文献の著者名・年(またはSIST 02の引用番号)が実際に登場しているかを確認する。登場していれば「引用文献」に分類できる。登場していないが、執筆の参考にした事実がある場合は「参考文献」に分類する。指導教員や投稿先の規定に「引用文献のみを記載すること」とある場合は、本文で言及していない文献をリストに加えてはならない。逆に「参考文献」という見出しが指定されている場合は、引用文献を含めたうえで、必要に応じて未言及の資料も加えられる。

リストの作り分け方

文献リストの作り方には大きく二つの方式がある。ひとつは「引用文献」と「参考文献(さらに読んだもの)」を別見出しで分けて併記する方式。もうひとつは、両者を区別せず「参考文献」の見出し一本にまとめる方式だ。分野やジャーナルの規定によって異なるため、投稿規程や執筆要項を必ず確認する必要がある。理系分野の論文では引用文献のみを一本のリストにまとめるのが一般的で、人文・社会科学系のレポートでは参考文献として広めに記載する慣行も見られる。どちらの方式を採る場合も、本文中の引用箇所とリストの記載順・記載内容が矛盾しないように管理することが最も重要だ。

引用文献と参考文献の使い分けを示す編集イラスト
直接引用した文献と背景理解のために読んだ文献の使い分けのイメージ

なお、ウェブサイトを文献として記載する場合の書式はウェブサイトの参考文献の書き方で、本文中の引用の入れ方(直接・間接)そのものについては論文の引用ルール完全ガイドで詳しく解説している。

SIST 02における扱い

SIST 02(科学技術情報流通技術基準)は、日本の科学技術系ジャーナルで広く採用されている参照文献の書き方の基準だ。書誌要素は「著者名」「表題」「誌名(または書名)」「巻・号・ページ」「出版年」などから構成され、4種類の書誌要素群の区切りにはピリオド、各要素内の区切りにはコンマを用いるのが原則とされている。SIST 02では、本文中の引用箇所に番号を付し、リストをその番号順に並べる「引用順(バンクーバー式)」と、著者名のアルファベット順に並べる方式のいずれも認められており、採用するジャーナルや学会の指示に従う必要がある。番号方式を用いる場合の具体的な書き方は脚注での引用の書き方にまとめている。

APAにおける扱い

APAスタイル(第7版)では、本文中で引用した著者と発行年をすべて「References」という単一の見出しの下にアルファベット順で並べる。見出しには「Works Cited」や「Bibliography」を使わないことが公式に定められており、リストに掲載される文献は本文中で必ず引用され、逆に本文で引用した文献はすべてリストに掲載されなければならないという一対一対応が厳格に求められる。したがってAPAでは、日本語の「引用文献」と「参考文献」を分けて併記する慣行はなく、実質的にはすべて「引用文献」としてのみリスト化される。各エントリーは著者姓のアルファベット順に並べ、2行目以降をインデントする「ぶら下げインデント」形式で整形する。詳しいAPA形式の全体像はTesifyのAPA引用形式ガイド(英語版)でも確認できる。

SIST 02とAPAの違い比較

項目 SIST 02 APA(第7版)
見出し 「引用文献」「参考文献」いずれも可(分野慣行) 「References」のみ
並べ方 引用順(番号)または著者順 著者姓のアルファベット順のみ
未言及文献の掲載 分野の慣行によっては可 原則不可
区切り記号 書誌要素群はピリオド、要素内はコンマ 要素ごとにピリオド・カンマの規定書式

よくある間違い

  • 見出しと中身の不一致:「引用文献」という見出しなのに、本文で触れていない文献が混ざっている。
  • 一対一対応の崩れ:本文で引用したのにリストに載せ忘れる、逆にリストにあるのに本文で使われていない文献が残る。
  • 孫引きの誤記載:原典を確認せずに孫引きした文献を、あたかも直接読んだかのように記載してしまうケース。孫引きの正しい書き方は二次引用(孫引き)の書き方を参照してほしい。
  • 図表の出典の記載漏れ:本文の引用文献リストとは別枠で管理すべき図表の出典を、通常の文献リストに混在させてしまうミス。詳しくは図表の出典・引用の書き方を参照。

文献リストの基本的な書式全体を体系的に確認したい場合は、参考文献の書き方完全ガイドでSIST 02・APA双方の書式例を一覧できる。文献管理や引用箇所の照合を効率化したい場合、Tesifyのようなツールを使うと本文中の引用とリストの対応関係をチェックしやすくなる。

よくある質問

引用文献と参考文献、どちらの見出しを使えばよいですか。

投稿先や指導教員の規定を最優先で確認する。指定がない場合、本文で言及した文献のみなら「引用文献」、背景理解のために読んだ文献も含めるなら「参考文献」を使うのが基本的な目安だ。

APAでは引用文献と参考文献を分けて書きますか。

分けない。APAでは本文中で引用した文献のみを「References」という単一の見出しの下にアルファベット順で並べるのが原則で、未言及の文献を別枠で加える慣行は基本的にない。

SIST 02では引用文献リストの並べ方に決まりがありますか。

SIST 02自体は引用順(番号方式)と著者順のいずれも認めており、どちらを採用するかは投稿先のジャーナルや学会の指示に従う必要がある。

本文で触れていない文献をリストに入れてもよいですか。

見出しが「参考文献」であれば、分野の慣行によっては認められる場合がある。ただし「引用文献」という見出しの場合や、APAのReference Listでは、本文で言及していない文献を含めるべきではない。

孫引きした文献は引用文献リストに載せてよいですか。

孫引き(二次引用)の場合は原典を確認したかのように記載せず、「原著者(年)、○○(年)に引用」のように孫引きであることを明示した記載方法を用いる必要がある。

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