公立大学とは、都道府県や市などの地方公共団体が設置する大学です。令和7年度学校基本調査(確定値)で103校あり、国立85校・私立624校とあわせて大学は812校です。国立でも私立でもない第三の選択肢でありながら、進学情報では最も語られない層でもあります。

公立大学は国立・私立と何が違うのか?
最大の違いは設置者です。国立大学は国立大学法人、私立大学は学校法人が設置しますが、公立大学は地方公共団体、または地方公共団体が設立した公立大学法人が設置します。
この違いは制度上の形式にとどまりません。設置者が地域の自治体であるため、大学の目的に「その地域への貢献」が明示的に組み込まれていることが多く、地域の産業・医療・行政と結びついた学部編成になりやすいのが特徴です。
| 比較軸 | 国立大学 | 公立大学 | 私立大学 |
|---|---|---|---|
| 学校数(令和7年度) | 85校 | 103校 | 624校 |
| 設置者 | 国立大学法人 | 地方公共団体・公立大学法人 | 学校法人 |
| 授業料 | 国の標準額に準拠 | 設置自治体が条例等で定める | 大学が自由に設定 |
| 入学料 | 原則一律 | 居住地により異なることがある | 一律 |
| 規模 | 大規模・総合型が多い | 中小規模・特化型が多い | 幅が大きい |
短期大学や高等専門学校にも公立はあります。同調査では短期大学292校のうち公立が14校、高等専門学校58校のうち公立が3校、専門学校2,658校のうち公立が174校です。規模感は 高専・専門学校・短大の学生数データ2026 にまとめています。
🔴 入学料が居住地で変わる——公立大学固有の論点
これが公立大学を検討するうえで最も実務的に重要な点です。公立大学の多くは、設置自治体の住民かどうかで入学料に差を設けています。設置自治体の税金で運営されている以上、域内住民を優遇する設計になっているためです。
本サイトの 医学部の学費データ2026 でも、公立大学医学部では県内出身者と県外出身者とで総額に数十万円規模の差が生じうることを扱っています。医学部に限らず、多くの公立大学で同様の構造があります。
実務上の注意点は次のとおりです。
- 差が出るのは通常「入学料」で、授業料は同額のことが多い。ただし大学により扱いが異なります。
- 「域内」の定義を必ず確認する。本人の住所か、保護者の住所か、いつ時点の住所かは大学ごとに定められています。入学直前の転居では要件を満たさないことがあります。
- 金額と要件は設置自治体の条例等で定まり、改定されます。必ず募集要項で最新の金額を確認してください。
この差額は、国立か公立かの比較よりも大きな金額差になることがあります。学費の全体像は 大学の学費の推移データ2026 を参照してください。

公立大学院への出願で何が違うのか?
大学院についても、基本的な流れは国立・私立と変わりません。研究計画書を出し、筆記と面接を受け、事前に指導を希望する教員とコンタクトを取る——この構造は共通です。
ただし公立大学院には実務上の特徴があります。
- 研究科の規模が小さいことが多い。教員数が限られるため、自分の研究テーマを見てもらえる教員がいるかどうかが、国立の総合大学より切実になります。研究科名だけで判断せず、必ず教員個人の業績を確認してください。
- 地域課題と結びついたテーマが強い。地域医療、地方自治、地場産業、環境など、その地域固有の課題を扱う蓄積とデータへのアクセスがある場合があります。これは弱点ではなく、研究計画書で活かせる強みです。
- 入学料の地域差は大学院でも適用されることがある。学部と同じく募集要項で確認してください。
- 社会人受け入れに積極的な大学院がある。地域の職業人の学び直しを担う役割を持つためです。
研究室の選び方は 大学院の研究室の選び方2026、研究計画書の書き方は 大学院入試の研究計画書の書き方2026 にまとめています。出願の逆算は 大学院の出願スケジュール2026 が使えます。
公立大学を選ぶ判断はどうすればよいか?
「国立に届かなかったから公立」という消去法での位置づけが根強くありますが、それでは公立大学固有の利点を取りこぼします。
公立が有利に働く条件は、はっきりしています。
- 設置自治体に居住している。入学料の差がそのまま効きます。
- 自宅から通える。公立大学は地域に分散して配置されており、下宿費用が丸ごと不要になる場合があります。学費の差より生活費の差のほうが大きいことは珍しくありません。
- その地域の課題を研究したい。データと現場へのアクセスが違います。
- 少人数の環境を求めている。中小規模ゆえに教員との距離が近くなりやすい傾向があります。
逆に、特定分野で全国的な研究蓄積を求める場合や、大規模な設備が必要な場合は、規模の面で国立の総合大学が有利になることがあります。どちらが上ということではなく、条件で決まります。
奨学金や授業料減免の制度は設置区分によって窓口が異なる場合があります。大学院の授業料免除・減免ガイド2026 と 大学院の奨学金 完全ガイド2026 をあわせて確認してください。
よくある質問
公立大学は何校ありますか?
令和7年度学校基本調査(確定値)で103校です。国立85校、私立624校とあわせて大学は812校となります。数のうえでは公立は国立より多くあります。
公立大学の入学料は本当に居住地で変わるのですか?
多くの公立大学で、設置自治体の住民かどうかにより入学料に差が設けられています。設置自治体の税金で運営されているためです。金額と要件は自治体の条例等で定まり改定されるため、必ず募集要項で確認してください。
「域内」の判定は誰の住所で決まりますか?
大学によって異なります。本人の住所か保護者の住所か、いつ時点の住所かがそれぞれ定められており、入学直前の転居では要件を満たさない場合があります。出願前に募集要項で確認してください。
公立大学の授業料は国立と同じですか?
同額のことが多いものの、公立大学の授業料は設置自治体が定めるため、国の標準額に準拠する国立とは決まり方が違います。差が出るのは主に入学料ですが、大学により扱いが異なります。
公立大学院は国立大学院より不利ですか?
一概には言えません。研究科の規模が小さい分、教員数が限られるため自分のテーマを見てもらえる教員がいるかの確認がより重要になります。一方で地域課題に関する蓄積やデータへのアクセスは強みになります。
公立の短期大学や高等専門学校もありますか?
あります。令和7年度学校基本調査では、短期大学292校のうち14校、高等専門学校58校のうち3校、専門学校2,658校のうち174校が公立です。
