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留学生が日本語で卒論を書く方法2026|つまずく7つの型とAI推敲の手順

留学生が日本語で卒論を書く方法2026|つまずく7つの型とAI推敲の手順

留学生が日本語で卒論を書くときの壁は、語彙量ではなく「学術日本語の型」にある。日常会話が流暢でも、常体への統一、助詞の選択、名詞化の多用といった論文固有の作法は別に習得する必要がある。つまずきを型として把握し、順番に潰していくのが最短の道である。

結論を先に言うと

まず文体を常体(だ・である体)に統一し、次に助詞・接続表現・専門用語の三点を集中的に点検する。AIは表記と文法の校正には有効だが、主張や解釈を書かせる用途には使わない。この線引きを守れば、日本語を理由に評価を下げられる場面はかなり減らせる。

日本語がいちばん問題になるのはどこか?

審査で日本語が問題視されるのは、細かい文法ミスが散在しているときよりも、一文の中で主語と述語の対応が崩れ、主張が読み取れなくなっているときである。留学生の原稿でよく起きるのは、修飾語を足しているうちに一文が長くなり、最後の述語が最初の主語と噛み合わなくなるパターンだ。

対策は単純で、一文を短く切ることに尽きる。目安として一文60字前後を超えたら、接続助詞「〜が」「〜ので」の位置で二文に分ける。日本語の自然さは、難しい表現を使うことではなく、係り受けが一意に決まることで生まれる。

つまずきやすい7つの型とは?

指導現場で繰り返し指摘される不自然さは、おおむね次の7類型に整理できる。自分の原稿を検索機能で当たれば、機械的に潰せるものが多い。

留学生の卒論で頻出する日本語のつまずき7類型
類型 よくある形 修正の方向
文体の混在 「〜と考えます」と「〜と考える」が同居 常体に一括統一する
助詞の揺れ 「〜について検討する」と「〜を検討する」の混用 分野の慣用に合わせて固定する
主述のねじれ 長文の末尾で述語が主語に対応しない 一文を二文に分割する
話し言葉の混入 「けど」「たくさん」「すごく」 「が」「多数の」「著しく」に置換
過剰な名詞化 「〜の実施の検討の必要性」 動詞に戻して分解する
接続表現の単調さ 「そして」「また」の連続 論理関係に応じて使い分ける
専門用語の訳ぶれ 同じ概念を章ごとに違う語で表記 用語表を作り初出で定義する

とくに7番目の訳ぶれは、母語や英語の文献を下敷きにしている場合にほぼ必ず起きる。初出で用語を定義し、以後は同じ語で通す運用にすると、読み手の負担が大きく下がる。

論文の常体と敬体の書き分けを比較した図解
文体の混在は内容と無関係に体裁の不備として指摘される。最初に一括で統一しておきたい。

敬体と常体はどう使い分けるのか?

卒論の本文は常体(だ・である体)で書くのが標準である。敬体(です・ます体)は、アンケートの依頼文や同意説明文など、読み手に語りかける文書に限って使う。授業のレポートを敬体で書いてきた学生ほど、卒論で無意識に敬体が混ざりやすい。

実務的な潰し方は、原稿を書き終えた段階で「ます」「ません」「でしょう」「ください」を全文検索し、本文中の該当箇所を機械的に置換することだ。文体そのもののルールは論文の文体ルール(だ・である体)に整理されているので、判断に迷う語尾はそちらを参照してほしい。

また、日本語の段落は英語のパラグラフより緩く運用されがちだが、卒論では1段落1論点の原則を守ったほうが読みやすくなる。段落の作り方は論文のパラグラフライティングで扱っている。

日本語能力試験のレベルは卒論にどう関係するか?

日本語能力試験(JLPT)の級は卒論の提出要件ではないが、先行研究を読む力の目安にはなる。JLPT公式サイトの認定の目安によれば、N1は「幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる」水準とされる。N2は「論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができる」水準である。

つまりN1相当の読解力があれば日本語の学術論文を読み進められる見込みが立つ、というのが級の意味であって、書く力を保証するものではない。読解と産出は別の技能であり、アカデミックライティングは別途訓練が要る。この点を取り違えて「N1を持っているのに卒論が書けない」と悩む必要はない。

なお、日本の大学に在籍する外国人留学生の規模や在学段階別の内訳については、日本の外国人留学生数 最新データにまとめている。

AIには何をさせて、何をさせないのか?

日本語を母語としない書き手にとって、AIによる校正は費用対効果が高い。ただし任せてよい範囲は明確に切り分ける必要がある。

AIに任せてよい作業と、任せてはいけない作業
作業 判断 理由
誤字脱字・表記ゆれの検出 任せてよい 機械的作業で、内容の独自性に影響しない
敬体と常体の統一 任せてよい 形式の整形にとどまる
不自然な助詞の指摘 条件付きで可 提案を鵜呑みにせず、意味が変わっていないか確認する
段落の論理構成の点検 条件付きで可 指摘を受けて自分で書き直す前提なら有効
先行研究の要約の代筆 避ける 読んでいない文献の要約は誤りが混入する
考察・結論の生成 避ける 主張の著者性が失われ、多くの大学で不正に当たる

助詞の修正提案は特に注意が要る。「〜が」を「〜は」に変える提案は、文法的には自然になっても、主題と焦点が入れ替わって論旨が変わることがある。提案を受け入れる前に、自分の言いたいことと一致しているかを必ず確認してほしい。具体的な推敲の進め方は論文をAIで推敲・添削する方法、品質面の注意点はAIライティングを論文で使う注意点にまとめている。

指導教員と留学生が卒論の原稿を確認する様子
面談時間は内容の議論に使いたい。形式的な誤りは持ち込む前に潰しておく。

指導教員に見せる前にどこまで整えるべきか?

指導教員の本来の役割は内容の指導であり、日本語の添削ではない。限られた面談時間を内容の議論に使うために、次の水準までは自分で仕上げてから持ち込みたい。

  1. 文体が常体で統一されている——「ます」で全文検索してゼロ件になる状態
  2. 専門用語が章をまたいで一貫している——用語表を作って照合する
  3. 一文が長すぎない——60字を超える文を洗い出して分割する
  4. 引用と自分の記述が明確に区別されている——出典のない断定が残っていないか確認する
  5. 図表番号と本文の言及が一致している——番号のずれは印象を大きく損ねる

この5点は日本語力とほぼ無関係に、機械的な確認だけで到達できる。逆に言えば、ここが崩れたまま提出すると、内容以前の段階で評価を落とすことになる。

日本語の形式面をまとめて点検したいとき

Tesifyは、章立ての整理から表記ゆれの点検、参考文献の書式統一までを支援するAIツールです。本文をAIに書かせるのではなく、自分で書いた日本語の形式面を洗い出す用途で使えば、大学が求める「補助的な利用」の範囲に収まります。

Tesifyで原稿を点検する

よくある質問

留学生の卒論は日本語のミスがあると減点されますか?

多くの場合、助詞の揺れや軽微な語順の不自然さそのものより、主張と根拠の関係が読み取れないことのほうが重く評価されます。ただし文体が敬体と常体で混在していると体裁の不備として指摘されやすいため、提出前に統一しておく価値は高いです。

卒論はN1がないと書けませんか?

日本語能力試験の級は卒論の要件ではありません。N1は論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章を読んで理解できる水準とされており、先行研究を読む力の目安にはなりますが、書く力は別途アカデミックライティングとして訓練する必要があります。

母語で書いてから日本語に翻訳してもよいですか?

構成メモや論点整理を母語で行うのは有効ですが、本文をそのまま機械翻訳して提出すると、専門用語の訳がぶれたり日本語として不自然な語順が残ったりします。翻訳を下敷きにする場合も、段落単位で日本語として書き直す工程を必ず挟んでください。

AIに日本語を直させるのは不正になりませんか?

文法や表記の校正は多くの大学で許容される補助的な利用に当たりますが、可否と明記義務は大学・科目ごとに異なります。主張や解釈をAIに書かせるのは範囲を超えるため、必ず所属大学の規定と指導教員の指示を確認してください。

日本語の専門用語が正しいか確認する方法はありますか?

その分野の日本語の学術論文を数本読み、同じ概念がどの語で表記されているかを確認するのが最も確実です。辞書の訳語ではなく、分野の慣用表記に合わせることで査読者や審査員に伝わりやすくなります。

指導教員に日本語の添削を頼んでもよいですか?

内容の指導が本来の役割なので、明らかな誤字や文体の乱れは自分で潰してから出すのが望ましいです。そのうえで、専門用語の使い方や論旨が伝わるかという観点で見てもらうと、限られた面談時間を有効に使えます。

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