大学進学率の推移データ2026|男女別・都道府県別・国際比較
「大学進学率は58.6%」という数字を見て、それが何を意味するのか正確に説明できるだろうか。実は大学進学率には複数の定義があり、大学(学部)単体の値なのか、短期大学を含む値なのか、当該年度卒業者だけの値なのか過年度卒業者を含む値なのかによって、数ポイントの差が生まれる。卒論・レポートで大学進学率を引用する際、この定義の違いを取り違えると、それ自体が事実誤認として指摘されかねない。
本記事は文部科学省「学校基本調査」令和7年度(2025)確定値(調査期日:令和7年5月1日、公表日:令和7年12月26日)を一次資料として、大学進学率の最新値・長期推移・男女差・都道府県差・OECDによる国際比較を整理する。都道府県別データについては、一次資料で数値を確認できた事例(東京都)のみを掲載し、確認できていない数値は補間・推測せずに明記する。
文部科学省「学校基本調査」令和7年度(2025)確定値によると、大学(学部)進学率(過年度卒を含む)は58.6%で前年度とほぼ横ばい。大学・短期大学進学率(過年度卒を含む)は61.4%(前年度比▲0.3ポイント)。男女差は長期的に縮小しているが、令和6(2024)年時点でも全国では男性がなお女性をわずかに上回る(文部科学省「令和6年度学校基本調査」を出典とする東京都公表資料による)。国際比較ではOECD「Education at a Glance 2025」で日本の25〜34歳の高等教育修了率は66%とOECD平均48%を大きく上回る。
大学進学率とは何か—指標の定義を正確に押さえる
「大学進学率」という言葉は、統計上は複数の指標を指しうる。文部科学省の学校基本調査では、少なくとも次の指標が別々に集計・公表されている。
| 指標名 | 分子(進学者) | 令和7年度確定値 |
|---|---|---|
| 高等教育機関への進学率 | 大学・短大・高専4年・専門学校の合計 | 85.4%(前年度比▲1.1pt) |
| 大学(学部)・短期大学(本科)進学率 | 大学学部+短大本科の入学者 | 61.4%(前年度比▲0.3pt) |
| 大学(学部)進学率 | 大学学部の入学者のみ | 58.6%(前年度とほぼ横ばい) |
いずれも分母は「3年前の中学校・義務教育学校・特別支援学校(中学部)卒業者及び中等教育学校前期課程修了者」であり、これに「過年度高卒者等を含む」形で入学者数を当てはめて算出される。一方、学校基本調査の概要では別途「(当該年度の)卒業者に占める進学者の割合」という当年度卒業者だけを対象とした数値も公表されており、令和7年度の値は大学・短大への進学者割合61.4%(うち大学学部58.3%)で、こちらは前年度比+0.7ポイントの過去最高となっている。同じ「大学進学率」という言葉でも、過年度卒業者を含むか含まないかで数値と増減の方向が変わりうる点には注意が必要だ。
本記事では特に断りのない限り、時系列比較に適した「過年度卒を含む」大学(学部)進学率58.6%を主たる指標として扱う。
最新データ:令和7年度(2025)学校基本調査確定値
文部科学省は令和7年12月26日、令和7年度学校基本調査の確定値を公表した。調査期日は令和7年5月1日である。主な数値は以下のとおり。
| 項目 | 令和7年度(2025) | 前年度比 |
|---|---|---|
| 高等教育機関への進学率(過年度卒含む) | 85.4% | ▲1.1pt |
| 大学・短大進学率(過年度卒含む) | 61.4% | ▲0.3pt |
| 大学(学部)進学率(過年度卒含む) | 58.6% | ほぼ横ばい |
| 専門学校への進学率 | 14.4% | ▲0.7pt |
| 高校卒業者に占める就職者の割合 | 13.8% | ▲0.2pt(過去最低) |
| 大学学部生に占める女子学生の割合 | 46.1% | +0.2pt(過去最高) |
| 大学全体の女性教員比率 | 28.2% | +0.4pt(過去最高) |
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査」結果の概要(確定値)、調査期日 令和7年5月1日、公表日 令和7年12月26日。
専門学校への進学率が0.7ポイント低下し、高校卒業者に占める就職者の割合も過去最低を更新した一方、大学・短大進学率(過年度卒含む)は0.3ポイントの低下となった。高等教育機関全体への進学率が1.1ポイント低下した背景には、専門学校・就職双方の減少に加え、少子化による18歳人口の構成変化が影響している可能性がある。この点は原資料でも明示的な要因分解が示されていないため、本記事では断定を避ける。
長期推移:大学進学率はどう変わってきたか
学校基本調査の年次統計は1948年から高等教育機関への進学状況を追跡しており、大学(学部)進学率は昭和60(1985)年前後の30%台から、平成期を通じて緩やかに上昇し、近年は58〜59%台で推移してきた。令和7年度確定値の58.6%は「前年度とほぼ横ばい」とされており、長期的な上昇トレンドがここ数年で頭打ちに近づいていることがうかがえる。
大学進学率の伸びが鈍化する一方で、大学院への進学率は緩やかに上昇している。文部科学省の同調査によれば、大学学部卒業者の大学院等への進学率は12.7%(前年度比+0.1pt)、修士課程修了者の大学院等への進学率は11.2%(前年度比+0.3pt)だった。学部から大学院までの進学構造全体の推移を俯瞰したい場合は、大学院進学率の最新データ2026|学部別・国際比較で見る日本の現状もあわせて参照してほしい。
また、進学率の裏側にある「進学しない・できない」層の動向を理解するには、大学進学後の状況を示す指標も欠かせない。大学中退率の最新データ2026|学年別・分野別の推移と背景を読み解くでは、進学後に大学を離れる学生の動向を扱っている。

男女別の推移—縮小する差、残る差
大学進学率の男女差は、日本の学校基本調査を扱う議論で繰り返し取り上げられてきたテーマだ。ここでは、東京都生活文化局が公表した「女性活躍推進計画」の資料を参照する。同資料は文部科学省「令和6年度学校基本調査」を出典として明記しており、令和6(2024)年時点の全国・東京都における大学・短期大学(本科)への進学率(過年度高卒者を含む)を次のように示している。
| 区分 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 全国(令和6年度) | 62.8% | 61.7% |
| 東京都(令和6年度) | 72.0% | 76.3% |
出典:東京都生活文化局「女性活躍推進計画」(資料:文部科学省「令和6年度学校基本調査」)。数値は大学(学部)・短期大学(本科)への進学率(過年度高卒者を含む)。

この資料が示す長期グラフ(平成8年度〜令和6年度)を見ると、全国値では平成期を通じて男性の進学率が女性を上回る状態が続いてきたが、その差は縮小傾向にあり、令和6年度時点では男性62.8%・女性61.7%と1.1ポイント差まで縮まっている。一方、東京都では既に女性(76.3%)が男性(72.0%)を4.3ポイント上回っており、全国と東京都とで男女差の方向自体が逆転している点は注目に値する。
なお、令和7年度学校基本調査の確定値では大学(学部)進学率の全国男女別内訳は本記事執筆時点で参照した概要資料には含まれておらず、上記の男女別数値は令和6年度時点かつ大学・短大合算の値であることに留意されたい。全国値の大学学部単体・男女別の最新数値を確認する場合は、e-Statの年次統計表(進学率)を直接参照することを推奨する。
都道府県差:東京都のケースから見えること
都道府県別の大学進学率には大きな地域差があることが広く知られているが、本記事では一次資料で確認できた東京都の事例のみを紹介する。前述の東京都公表資料によれば、令和6(2024)年の大学・短大進学率は、女性で全国を14.6ポイント、男性で全国を9.2ポイント上回っている。つまり東京都は全国平均に対して大学・短大進学率が顕著に高い地域であり、かつ女性の上回り幅が男性より大きいことが分かる。
他の道府県についても学校基本調査には都道府県別の学校数・学生数データが存在するが、本記事の執筆時点で確認できた一次資料の範囲では、東京都以外の都道府県別・男女別の大学進学率を裏付ける具体的な数値を確認できなかった。都道府県別ランキングのような網羅的な比較を行いたい場合は、e-Statで公開されている学校基本調査の都道府県別ファイルを直接参照することを推奨する。数値の埋め合わせによる推測値の掲載は、統計の正確性を損なうため本記事では行わない。
国際比較:OECDデータで見る日本の位置づけ
国際比較には、OECDが加盟国共通の定義で集計する「Education at a Glance 2025」の日本カントリーノートを用いる。同資料は高等教育(tertiary education)を主題として扱っており、以下の数値を示している。
| 指標 | 日本 | OECD平均 |
|---|---|---|
| 25〜34歳の高等教育修了率(2024年) | 66%(2019年は62%) | 48% |
| 25〜64歳の高等教育修了率 | 57% | 42% |
| 高等教育への初回入学者に占める女性の割合(2023年) | 51%(2013年から変化なし) | 54% |
| 高等教育の学士課程入学者の割合 | 65% | 78% |
| 高等教育機関の女性教員比率 | 31%(OECD最低水準) | 46% |
出典:OECD「Education at a Glance 2025」日本カントリーノート(2025年公表)。
日本は25〜34歳の高等教育修了率でOECD平均を18ポイント上回り、加盟国の中でも上位に位置する。一方で、高等教育への初回入学者に占める女性の割合はOECD平均(54%)よりやや低い51%にとどまり、この数値は2013年から実質的に変化していない。OECDは日本・ドイツ・スイスを「ジェンダーパリティ(男女均等)に最も近い国」として挙げているが、これは「差が小さい」という意味であり、依然として男性の割合がわずかに高い状態が続いていることを示している。学校基本調査ベースの国内男女差(前章)とOECDベースの国際指標(本章)は算出方法が異なるため、数値を直接足し引きして比較することは避けたい。
男女差が縮小してきた背景
大学進学率の男女差が縮小してきた背景としては、女子の四年制大学志向の高まり、短期大学から四年制大学への進学先シフト、女子学生比率の上昇を掲げる大学側の取り組みなど、複数の要因が指摘されることが多い。実際、令和7年度学校基本調査確定値でも、大学学部生に占める女子学生の割合は46.1%と過去最高を更新している。ただし、これらの背景要因についての定量的な寄与度分解は、本記事が参照した一次資料の範囲では示されていない。卒論・レポートで背景要因を論じる場合は、本記事のデータを出発点としつつ、要因分析を扱う先行研究(教育社会学・労働経済学分野の論文など)を別途参照することを推奨する。
こうした一次統計を卒論・レポートに引用する際は、出典(調査名・年度・確定値か速報値か)を本文中に明記することが欠かせない。引用ルールの詳細は論文の引用ルール完全ガイド2026を参照してほしい。統計データの出典表記や図表番号の付け方に迷った場合、Tesifyで参考文献リストを整理しながら本文中の数値引用箇所を管理すると、出典の対応漏れを防ぎやすい。
よくある質問
大学進学率とは、大学・短大進学率と何が違いますか?
「大学(学部)進学率」は大学学部の入学者のみを分子とする指標で、令和7年度確定値は58.6%です。これに短期大学(本科)入学者を加えた「大学・短期大学進学率」は61.4%となり、短大分だけ数値が高くなります。統計や記事を比較する際は、どちらの指標かを必ず確認してください。
大学進学率の男女差はなくなったのですか?
完全にはなくなっていません。文部科学省「令和6年度学校基本調査」を出典とする東京都のデータでは、令和6(2024)年の全国の大学・短大進学率は男性62.8%、女性61.7%で、男性がなお約1.1ポイント上回っています。ただし過去数十年で差は大きく縮小しており、東京都では女性が男性を上回る水準にあります。
都道府県別の大学進学率はどこで確認できますか?
文部科学省の学校基本調査・都道府県別集計、またはe-Statの都道府県別ファイルで確認できます。本記事では一次資料で数値を確認できた東京都のケースのみを紹介しており、他の都道府県の数値は推測や補間を避けるため掲載していません。網羅的な都道府県別ランキングが必要な場合はe-Statの原表を直接参照してください。
日本の大学進学率は国際的に高いのですか?
高等教育修了率で見ると高い水準にあります。OECD「Education at a Glance 2025」によれば、日本の25〜34歳の高等教育修了率は66%(2024年)でOECD平均48%を大きく上回り、OECD加盟国の中でも上位に位置します。ただし進学率の算出方法は国によって異なるため、単純な順位比較には注意が必要です。
まとめ
大学進学率は「どの指標か」「過年度卒を含むか」「調査年度」を明確にしなければ、数値の一人歩きを招きやすい統計だ。令和7年度確定値では大学(学部)進学率は58.6%でほぼ横ばい、大学・短大進学率は61.4%で前年度比▲0.3ポイントとなった。男女差は長期的に縮小しているが、令和6年度時点の全国値でも男性がなお女性をわずかに上回り、東京都のように女性が男性を上回る地域も存在する。国際比較では、日本は高等教育修了率でOECD平均を大きく上回る一方、初回入学者の女性比率はOECD平均をやや下回る。数値を引用する際は必ず出典・年度・指標の定義を本文中に明記してほしい。
