参考文献の著者表記は、人数によって省略の可否が変わり、SIST 02とAPA第7版で切り替えの基準が異なる。
単著の文献しか扱わない卒論はまず無い。共著論文、学会や省庁が出した団体名義の報告書、編集書籍の一章、著者名のないウェブページ——実際の文献リストにはこれらが混在する。書式が揺れると、審査で「文献リストが雑」という印象を与える。
著者が複数のとき、何人まで書くのか?
| 著者人数 | SIST 02 | APA第7版(文献リスト) | APA(本文中) |
|---|---|---|---|
| 1名 | そのまま記載 | そのまま記載 | Yamada (2026) |
| 2名 | 中黒または読点で併記 | 2名とも記載、& で接続 | Yamada & Sato (2026) |
| 3〜20名 | 全員記載、または筆頭者+「ほか」 | 全員記載 | Yamada et al. (2026) |
| 21名以上 | 筆頭者+「ほか」 | 最初の19名+…+最終著者 | Yamada et al. (2026) |

APA第7版の重要な変更点は、本文中の引用は著者3名以上で即座に et al. になることだ。第6版までは「3〜5名は初出時に全員、2回目以降 et al.」というルールだったが、第7版で簡素化された。古い教科書を参照すると間違えるので注意したい。詳細はAPAスタイルの引用・参考文献の書き方を確認してほしい。
SIST 02では、著者を何名まで列挙するかは投稿先や所属機関の指定に従うのが原則になる。指定がない卒論では、6名までは全員、7名以上は「筆頭者ほか」とする運用が読みやすい。論文全体で基準を統一することが最も重要だ。SIST 02の全体像はSIST 02とは?参考文献の書き方にある。
「ほか」と「他」と「et al.」
日本語文献には「ほか」、英語文献には「et al.」を使う。日本語文献に et al. を混ぜると不統一になる。「他」の漢字表記も見られるが、ひらがなの「ほか」が一般的だ。どちらを選んでも構わないが、混在させない。
団体が著者のときはどう書くのか?
省庁・学会・企業・国際機関などが著者の場合、団体名をそのまま著者位置に書く。個人名は探さない。
SIST 02:文部科学省. 令和7年度学校基本調査(確報). 文部科学省, 2026, 148p.
APA:Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. (2026). School basic survey 2025. MEXT.

APAでは、団体名に広く知られた略称がある場合、初出時に正式名称+角括弧で略称を示し、2回目以降は略称を使える。
初出:(World Health Organization [WHO], 2025)
2回目以降:(WHO, 2025)
この略記が使えるのは、略称が読者に十分知られている場合に限る。マイナーな団体は毎回フルネームで書く。官公庁資料に固有の注意点は官公庁資料・白書・統計の引用と参考文献の書き方にまとめている。
団体名と発行者が同じとき
著者も発行者も同じ団体である場合、APAでは発行者の記載を省略する。SIST 02では、著者と発行者の両方に同じ団体名が並ぶことを許容する形式もあるため、指定に従う。
編者しかいない書籍はどう書くのか?
論文集や講座本のように、章ごとに著者が異なり全体に編者がいる場合、引用する章の著者を著者位置に書き、編者は書籍情報の側に書く。
SIST 02:佐藤花子. 大学教育におけるAI活用の現状. 田中一郎編. 高等教育とデジタル技術. ◯◯出版, 2026, p. 45-72.
APA:Sato, H. (2026). AI use in higher education. In I. Tanaka (Ed.), Higher education and digital technology (pp. 45-72). Publisher.
書籍全体を引用する場合のみ、編者を著者位置に置き、APAでは (Ed.) または複数編者なら (Eds.) を付す。章を引用しているのに編者を著者位置に書くのが最頻出の誤りだ。
著者が分からない資料はどうするのか?
著者名が記載されていない資料は、タイトルを著者位置に繰り上げる。「無名氏」「著者不明」と書いてはいけない。
APA本文中:(Guide to thesis formatting, 2025)
APA文献リスト:Guide to thesis formatting. (2025). Publisher.
ただし、実際には著者不明とされる資料の多くに団体著者がいる。ウェブページなら運営組織、報告書なら発行機関が著者になる。ページの下部やサイトの「発行元」表記を確認してから、著者不明と判断したい。ウェブサイトの書式はウェブサイトの参考文献の書き方で扱っている。
著者表記が並べ替えに影響する
APAは文献リストを筆頭著者の姓のアルファベット順で並べる。団体著者は団体名の先頭文字で、著者不明の資料はタイトルの先頭文字で並べる。略称ではなく正式名称の先頭文字で並べる点に注意したい。
SIST 02は本文での引用順(出現順)に番号を振って並べるため、著者名は並び順に影響しない。この違いは文献リスト全体の作り方を変える。並べ替えの詳細は参考文献の順番・並べ替えルールを参照してほしい。全体の型は参考文献の書き方完全ガイドにある。
よくある質問
同じ筆頭著者で複数の論文がある場合、et al. で区別できません。
APAでは、et al. にすると区別がつかなくなる場合、区別できるところまで著者名を追加します。「Yamada, Sato, et al. (2026)」のように、必要な人数だけ書いてください。
日本語の共著者は中黒と読点のどちらで区切りますか?
SIST 02では読点(、)またはカンマが一般的です。中黒(・)も見られます。所属機関の指定を確認し、論文全体で統一してください。
監修者は著者として扱いますか?
編者と同様に扱い、著者位置ではなく書籍情報の側に「◯◯監修」と記します。実際に本文を執筆した者を著者位置に書くのが原則です。
翻訳書で原著者と訳者がいる場合は?
原著者を著者位置に置き、訳者は書名のあとに記します。詳細な記載順は翻訳書の書式を扱った記事で整理しています。
著者名の姓と名の順序が分からない外国人著者はどうしますか?
掲載誌の著者情報や、その研究者の所属機関のページで確認してください。推測で入れ替えると別人として扱われる恐れがあります。判断できない場合は掲載誌の表記どおりに記載します。
