令和7年度(第75回)税理士試験の合格率は21.6%で、前年度の16.6%から5ポイント上がりました。ただしこの数字を「税理士になりやすくなった」と読むと逆になります。同じ年、5科目に到達した人は578人から527人へ減っています。上がったのは一部科目合格者数のほうで、しかもその増加はほぼ1科目に集中しています。

そもそもこの「合格率」は何を測っているのか?
🔴 最初に押さえるべきはここです。国税庁の結果表で「合格率」と呼ばれているのは、(5科目到達者数+一部科目合格者数)÷ 受験者数です。つまり「その年に少なくとも1科目に受かった人の割合」であって、税理士試験に最終合格した人の割合ではありません。
税理士試験は科目合格制で、5科目に到達して初めて資格要件を満たします。したがって「合格率21.6%」と「税理士になれる確率21.6%」はまったく別の話です。
令和7年度の全体像は?
| 区分 | 令和7年度(第75回) | 令和6年度(第74回) |
|---|---|---|
| 受験申込者数(実人員) | 45,517 | 43,919 |
| 受験者数(実人員) | 36,320 | 34,757 |
| 受験率 | 79.8% | 79.1% |
| 延受験申込者数 | 71,727 | 69,210 |
| 延受験者数 | 52,236 | 49,676 |
| 5科目到達者数 | 527 | 578 |
| 一部科目合格者数 | 7,320 | 5,184 |
| 合格者数合計 | 7,847 | 5,762 |
| 合格率 | 21.6% | 16.6% |
受験者は1,563人増えました。合格者数合計は2,085人増えました。そして5科目到達者は51人減りました。合格率を押し上げたのは一部科目合格者の増加(5,184人 → 7,320人、2,136人増)であり、最終的に到達した人の数はむしろ縮んでいます。
💡 受験者36,320人に対して延受験者は52,236人です。1人あたりおよそ1.4科目を受けている計算になります(この平均は筆者が両数値から算出したもので、公表値ではありません)。科目合格制の試験なので、多くの人が年に1〜2科目ずつ積み上げていることが数字から見えます。

科目別に見ると何が起きたのか?
ここで全体の数字の正体が分かります。
| 科目 | 受験者数 | 合格者数 | 令和7年度 合格率 | 令和6年度 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 財務諸表論 | 15,629 | 4,980 | 31.9% | 8.0% |
| 簿記論 | 18,466 | 2,058 | 11.1% | 17.4% |
| 相続税法 | 2,413 | 333 | 13.8% | 18.7% |
| 法人税法 | 3,606 | 488 | 13.5% | 16.4% |
| 所得税法 | 1,120 | 146 | 13.0% | 12.6% |
| 消費税法 | 7,064 | 712 | 10.1% | 10.3% |
| 酒税法 | 590 | 72 | 12.2% | 12.1% |
🔴 財務諸表論の合格率が8.0%から31.9%へ、およそ4倍になっています。合格者数だけで4,980人——全体の合格者7,847人の6割超がこの1科目です。一方で簿記論は17.4%から11.1%へ、相続税法は18.7%から13.8%へ、法人税法は16.4%から13.5%へ下がっています。
⚠️ つまり「合格率が上がった」という要約は、この表の7科目のうち4科目については事実と逆です。全体の数字は、受験者数の多い科目の大きな変動に引きずられます。自分が受ける科目の数字を見ないかぎり、全体の合格率はあなたの試験について何も語っていません。
なお本記事は合格率の変動の原因については説明しません。公表資料は結果の数値を示すのみで、出題や採点の方針について理由を述べていないためです。単年の変動を傾向として読まないでください。
学歴別・年齢別ではどう違うのか?
| 学歴区分 | 受験者数 | 合格者数合計 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 大学卒 | 25,893 | 5,377 | 20.8% |
| 大学在学中 | 2,811 | 896 | 31.9% |
| 専門学校卒 | 3,049 | 448 | 14.7% |
| 高校・旧中卒 | 3,179 | 786 | 24.7% |
| 短大・旧専卒 | 695 | 83 | 11.9% |
| その他 | 693 | 257 | 37.1% |
| 年齢区分 | 受験者数 | 合格者数合計 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 20歳以下 | 1,742 | 617 | 35.4% |
| 21〜25歳 | 6,752 | 1,987 | 29.4% |
| 26〜30歳 | 6,420 | 1,638 | 25.5% |
| 31〜35歳 | 5,100 | 1,266 | 24.8% |
| 36〜40歳 | 4,674 | 1,000 | 21.4% |
| 41歳以上 | 11,632 | 1,339 | 11.5% |
両方の表とも受験者数は36,320人ちょうどに合計され、区分に漏れはありません。そのうえで目を引くのは、41歳以上が受験者の約3分の1(11,632人)を占めながら合格率は11.5%と最も低く、20歳以下が35.4%と最も高いことです。
⚠️ ただしこれを「若いほど有利」と読むのは早計です。この合格率は「1科目でも受かった人の割合」であり、受験科目数の違いを調整していません。学生は在学中に受けやすい科目に絞り、社会人は仕事と並行して少数科目を受ける——受け方が違えば同じ指標でも数字は動きます。異なる集団を同じ率で比べるときは、その率が何を分母にしているかを先に確認してください。
女性は受験者36,320人のうち10,439人、合格者7,847人のうち2,254人でした。いずれも28.7%にあたります(この割合は筆者が公表値から算出したものです)。受験段階と合格段階でほぼ同じ比率であり、この指標では男女差が見えません。
この数字を自分の計画にどう使うか
- 全体の合格率ではなく、受ける科目の合格率を見る。表の7科目のうち4科目は前年より下がっています。
- 単年の変動を傾向と読まない。財務諸表論は1年で8.0%から31.9%へ動いています。
- 「合格率」は最終合格率ではないと理解する。5科目到達者は527人です。
- 科目数の設計を先に決める。1人あたり平均およそ1.4科目という実態は、複数年計画が標準だということを示しています。
- 大学院での科目免除ルートを併せて検討する。要件と論文の書き方は 税理士試験の科目免除を狙う修士論文の書き方2026 にまとめています。免除にも一部科目合格が必要なので、試験と完全に切り離せる話ではありません。
働きながら大学院に通う場合の全体像は 社会人大学院ガイド2026、資格試験の合格率データの読み方の比較対象としては 看護師国家試験の合格率データ2026 も参考になります。
⚠️ 本記事の数値は、国税庁が公表する「令和7年度(第75回)税理士試験結果表」に基づきます。受験資格については令和4年の税理士法改正による見直しが行われています。受験を検討する際は、必ず当該年度の受験案内と国税庁の最新の公表資料で確認してください。
よくある質問
税理士試験の合格率はどのくらいですか?
令和7年度(第75回)は21.6%でした。前年度の令和6年度は16.6%です。ただしこの合格率は、5科目到達者数と一部科目合格者数の合計を受験者数で割ったものであり、その年に少なくとも1科目に合格した人の割合を示します。
合格率が上がったということは、試験が易しくなったのですか?
そうとは言えません。同じ年に5科目到達者数は578人から527人へ減っています。また科目別に見ると、簿記論、相続税法、法人税法は前年より合格率が下がっており、上昇したのは主に財務諸表論です。公表資料は変動の理由を示していないため、原因は本記事では述べません。
5科目に到達した人は何人ですか?
令和7年度は527人です。前年度は578人でした。税理士試験は科目合格制で、5科目に到達して初めて資格の要件を満たします。
どの科目が受かりやすいですか?
令和7年度の合格率は財務諸表論31.9%、相続税法13.8%、法人税法13.5%、所得税法13.0%、酒税法12.2%、簿記論11.1%、消費税法10.1%でした。ただし財務諸表論は前年度が8.0%であり、単年の数字から受かりやすさを判断するのは危険です。
年齢が上がると不利になりますか?
令和7年度の合格率は20歳以下が35.4%、41歳以上が11.5%でした。ただしこの合格率は1科目でも合格した人の割合で、受験科目数の違いを調整していません。受け方が異なる集団を同じ指標で比較する際は注意が必要です。
受験者に占める女性の割合はどのくらいですか?
令和7年度は受験者36,320人のうち女性が10,439人、合格者7,847人のうち女性が2,254人でした。いずれも約28.7%にあたります(この割合は公表値から算出したものです)。
数字を見たあとに決めることは一つ
この試験でいちばん重い意思決定は勉強法ではなく、何年かけて、どの科目を、どの順で受けるかです。そして大学院での科目免除を使うなら、その計画には修士論文というもう一つの成果物が加わります。テーマが認定の枠に入るかどうかは着手前に決まるため、早い段階で構成を形にしておくことが効きます。素案の骨格を組み立てる段階では、Tesifyのような下書きツールを使う方法もあります。
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