学会発表の申込は、演題名と抄録をオンラインシステムに登録して行います。締切は多くの場合「厳守」で延長されず、共同演者の所属確認や施設内の手続きに時間を取られるため、締切当日に着手すると間に合いません。

ステップ1:学会の会員資格と締切を確認する
最初に確認すべきは「筆頭演者が会員でなければ登録できない」かどうかです。多くの学会が筆頭演者に会員資格を求めており、入会手続きには審査や会費の納入が必要で、即日では完了しません。
確認する項目は次のとおりです。
- 筆頭演者・共同演者それぞれに会員資格が必要か
- 入会申込から会員番号が発行されるまでの期間
- 演題登録の締切日時(時刻まで。正午締切のこともあります)
- 発表形式(口演・ポスター)を選べるか、学会側が決めるか
- 登録できる演題数の上限
締切日時は必ず時刻まで控えてください。「○月○日まで」と覚えていて、正午締切だったという取り違えは実際に起こります。
ステップ2:指導教員と共同演者を確定する
ここを後回しにすると、締切直前に止まります。共同演者に無断で名前を載せることはできません。全員から事前に了承を得る必要があり、氏名の表記、所属機関名、並び順をそれぞれ確認しなければなりません。
実務上つまずくのは次の点です。
- 所属の正式名称——学部・研究科・診療科まで、学会指定の粒度で書きます。略称が使えないことがあります。
- 異動——発表時点の所属を書くのか、研究実施時の所属を書くのかが学会によって違います。
- 並び順——貢献度で決めるのが原則です。誰を著者に含めるかの基準は オーサーシップの基準とは にまとめています。
登録画面で共同演者を1人ずつ手入力させるシステムが多く、人数が多いと単純に時間がかかります。氏名・所属を一覧にしたメモを先に作っておくと、入力が数分で終わります。
ステップ3:抄録を字数制限に収める
抄録は字数・文字種の制限が厳格で、超過すると登録ボタンが押せません。制限は学会ごとに異なり、全角何字か、半角込みか、演題名や著者名を含むかも違います。
注意すべき技術的な制約があります。
- 図表を入れられないことが多い。数値は本文中に文章で書きます。
- 上付き・下付き文字や特殊記号が使えない、または専用タグが必要な場合がある。化学式や統計記号を使う分野では事前確認が必須です。
- 改行が反映されないことがある。段落を分けたつもりが1つの塊で表示されます。
- 構造化抄録(目的・方法・結果・結論の見出し付き)を指定する学会がある。
Wordで下書きしてから貼り付けてください。登録システムに直接入力していてセッションが切れ、書いた内容が消える事故はよく起こります。抄録本文の書き方そのもの——目的・方法・結果・結論をどう凝縮するか——は 論文の要旨(アブストラクト)の書き方2026 の型がそのまま使えるので、本記事では繰り返しません。

ステップ4:利益相反と倫理審査の申告を用意する
見落としが最も多いのがここです。多くの学会が演題登録時に利益相反(COI)の申告を求め、人を対象とする研究では倫理審査の承認番号の入力を求めます。
倫理審査は登録直前に取れるものではありません。審査委員会の開催は月1回程度のことが多く、申請から承認まで数週間から数か月かかります。研究計画の段階で着手していないと、演題登録の時点では間に合いません。
COIの考え方は 利益相反(COI)とは?2026、医学系研究の倫理審査の流れは 医学研究の倫理審査とは2026 を参照してください。症例報告の場合は患者本人の同意が別途必要になることがあり、手順は 医学部の症例報告(ケースレポート)の書き方2026 にまとめています。
ステップ5:登録し、控えを保存する
登録が完了すると受付番号が発行されます。登録完了画面と確認メールを必ず保存してください。「登録したつもりで完了していなかった」という事故は、最終確認ボタンを押し忘れることで起こります。
- 受付番号・演題番号を控える
- 確認メールが届いているかその場で確認する(迷惑メールフォルダも確認)
- 登録内容の修正が締切まで可能か、修正方法を確認しておく
- 締切前日までに登録を終える。締切当日はアクセス集中でシステムが重くなります
ステップ6:採否通知を受けて発表準備に入る
採否は後日通知されます。採択された時点で発表形式(口演かポスターか)が確定することが多く、ここから準備の内容が分かれます。
| 確認項目 | 口演 | ポスター |
|---|---|---|
| 持ち時間 | 発表+質疑の配分を確認 | コアタイムの時間帯を確認 |
| 制作物 | スライド(枚数目安を逆算) | 掲示サイズの指定を必ず確認 |
| 提出 | 事前提出か当日受付か | 掲示開始・撤去の時刻 |
| 機材 | 接続端子・OS・動画の可否 | 掲示用具が用意されるか |
ポスターの掲示サイズは学会ごとに違い、印刷後に判明すると作り直しになります。作成ツールの選び方は 学会ポスター作成ツール比較2026 を参照してください。
発表後、その内容を論文にする場合の流れは 論文投稿の手順2026 に、他者の学会発表を引用する場合の書式は 学会発表・予稿集の参考文献の書き方2026 にあります。
よくある質問
学会員でなくても演題登録できますか?
学会によります。筆頭演者に会員資格を求める学会が多く、その場合は先に入会が必要です。入会申込から会員番号の発行までに時間がかかるため、締切から逆算して手続きしてください。
演題登録の締切は延長されますか?
延長される場合もありますが、延長を前提に計画しないでください。締切厳守の学会も多く、また締切直前はアクセス集中でシステムが重くなります。前日までに登録を終えるのが安全です。
抄録に図表を入れられますか?
入れられない学会が多数です。数値は本文中に文章で記述します。上付き・下付き文字や特殊記号にも制限があることがあるため、投稿要領を事前に確認してください。
共同演者は後から追加できますか?
締切前であれば修正できる学会が多い一方、締切後の変更は原則認められません。いずれにせよ本人の了承なく名前を載せることはできないため、登録前に全員の同意を得てください。
倫理審査の承認番号が間に合いません。どうすればよいですか?
審査委員会は月1回程度の開催が多く、申請から承認まで数週間以上かかります。登録直前に取得することはできないため、その回の登録は見送り、次回に向けて審査を進めるのが現実的です。研究計画の段階で着手してください。
演題名は後から変更できますか?
締切前なら修正可能な学会が多いですが、締切後はプログラムや抄録集に反映されるため変更できないのが通例です。登録前に指導教員の確認を受けてください。
