学会発表・予稿集の参考文献の書き方2026|口頭発表・ポスター・講演要旨の記載例

学会発表を参考文献に挙げるときは、著者・発表年・発表題目に加えて、学会名・開催地・開催日と、予稿集の有無を明示する。

雑誌論文や書籍と違い、学会発表は「どこまで公刊物として扱えるか」が発表形態によって変わる。予稿集に収録されて頁が付いたものと、当日配布資料しかないものでは、書式も引用の可否も異なる。ここを取り違えると、審査で「この文献は誰が検証できるのか」と突かれる。

学会発表は3種類に分けて考える

学会発表の3類型と参考文献としての扱い
類型 実体 第三者の入手可否 参考文献への記載
予稿集・講演論文集収録 頁付きの刊行物 可(学会・図書館経由) 雑誌論文に準じて記載
抄録集・要旨集収録 短い要旨のみ 可(要旨のみ) 記載可。要旨である旨を注記
発表のみ(刊行物なし) 口頭/ポスターの当日発表 原則不可 私信扱い。本文中で言及に留める

3行目が最も判断に迷う。第三者が確認できない情報は、参考文献リストに載せず、本文中で「(山田太郎氏、2025年◯◯学会での口頭発表による)」のように出所を示すのが一般的な処理だ。基本の考え方は参考文献の書き方完全ガイドと揃えておくとよい。

ページ番号が振られた学会予稿集とネームバッジ
頁が振られた予稿集に収録されていれば、雑誌論文に準じた書式で記載できる。頁の有無が扱いの分かれ目になる。

SIST 02ではどう書くのか?

SIST 02は科学技術情報流通技術基準で、国内の理工系・情報系で広く使われる。会議録(proceedings)は次の要素順で書く。

著者名. 発表題目. 会議名, 開催地, 開催年月日, 主催者, 出版年, 開始ページ-終了ページ.

記載例:

山田太郎, 佐藤花子. 大規模言語モデルによる文献要約の精度評価. 情報処理学会第88回全国大会講演論文集, 東京, 2026-03-12, 情報処理学会, 2026, p. 145-146.

要旨集のみの場合は、末尾に「(抄録)」と付す。オンライン開催であれば開催地の代わりに「オンライン開催」と記す。DOIが付与されている予稿は、DOIを末尾に加えると入手性が上がる。DOIの書式はDOI・URL・アクセス日の書き方に従う。SIST 02の全体像はSIST 02とは?参考文献の書き方で確認できる。

APA第7版ではどう書くのか?

APAでは、口頭発表とポスター発表を角括弧の記述子で区別するのが特徴だ。ここが日本語書式との最大の違いになる。

Author, A. A. (Year, Month Day-Day). Title of the contribution [Conference presentation]. Conference Name, Location.

記載例(口頭発表):

Yamada, T., & Sato, H. (2026, March 12-14). Evaluating summarization accuracy of large language models [Conference presentation]. 88th National Convention of IPSJ, Tokyo, Japan.

記載例(ポスター発表):

Yamada, T. (2026, March 12-14). Reference verification workflows for undergraduate theses [Poster presentation]. 88th National Convention of IPSJ, Tokyo, Japan.

記述子には [Conference presentation]、[Poster presentation]、[Paper presentation]、[Keynote address] などがある。予稿集に収録され頁が付いた場合は、会議録を編集書籍の一章または定期刊行物として扱い、記述子は不要になる。APA全体の型はAPAスタイルの引用・参考文献の書き方にまとめている。

大学の会議室で聴衆に向けて口頭発表する登壇者
APAでは口頭発表とポスター発表を角括弧の記述子で区別する。発表形態の取り違えは書式上の誤りになる。

日付の書き方の注意

APAでは会期全体を範囲で書く。単日開催なら (2026, March 12)、3日間なら (2026, March 12-14) とする。発表者が登壇した日ではなく、会議の会期を書く点に注意したい。

学会発表を引用してよいのはどんなときか?

査読を経ていない発表は、査読論文より根拠としての強度が低い。それでも引用が正当化される典型は次の3つだ。

  1. 最新の知見がまだ論文化されていない——分野の動向を示す目的で、査読論文と併記する
  2. その発表自体が分析対象——研究動向の分析やメタ研究で、発表そのものをデータとして扱う
  3. 自分の先行発表——自身の学会発表を発展させた卒論であることを示す(自己剽窃の回避にもなる)

逆に、主要な主張の唯一の根拠を学会発表に置くのは避けたい。同じ内容が論文化されていないか、投稿前に確認する。論文化までの流れは論文投稿の手順を参照してほしい。

よくある質問

予稿集にページ番号がない場合はどう書きますか?

発表番号(講演番号、セッションIDなど)を頁の代わりに記載します。「講演番号 2K-05」のように、第三者が該当発表を特定できる識別子を必ず入れてください。

オンライン開催の学会はどう書きますか?

SIST 02では開催地の位置に「オンライン開催」と記します。APAでは会議名のあとに Virtual または Online と記載します。配信URLがあれば末尾に加えます。

予稿集が学内配布のみで公開されていません。引用できますか?

第三者が入手できないため、参考文献リストへの記載は避けるのが無難です。本文中で私信・未公刊資料として出所を示し、必要なら発表者から引用の許諾を得てください。

自分のポスター発表を卒論で引用する必要はありますか?

卒論の内容と重複する発表をしている場合は、引用して関係を明示してください。明示しないと自己剽窃を疑われる余地が生まれます。

学会発表と論文の両方がある場合、どちらを引用しますか?

査読を経た論文を優先します。両方に触れる必要がある場合は論文を主として引用し、先行して発表があった事実を注記する形が読みやすくなります。

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