医学論文の参考文献の書き方2026|バンクーバー方式(番号順)の記載例
医学論文 参考文献 書き方の基本は、本文中に引用順で番号を振り、文末にその番号順で文献リストを並べる「バンクーバー方式」に従うことにある。医学・看護分野の学術誌の多くがこの方式を採用している。

結論を先に:バンクーバー方式は「著者名(6名まで、7名以上はet al.).論文タイトル.雑誌略誌名.発行年;巻(号):頁.」の順で記載し、本文の引用箇所には出現順に番号を振る。雑誌名はNLM(米国国立医学図書館)または医学中央雑誌刊行会(医中誌)が定める略誌名を使う。
バンクーバー方式とは
バンクーバー方式は、1978年にバンクーバーで開催された医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)の会合をきっかけに整備された引用形式で、正式には「統一投稿規定(Uniform Requirements for Manuscripts)」と呼ばれる。医学・看護・薬学系の学術誌や医中誌に収録される国内誌の多くが、この方式またはこれに準じた形式を採用している。最大の特徴は、著者名のアルファベット順ではなく、本文中に引用された順序で文献に番号を振る点にある。
引用順の番号の付け方
本文中で文献を参照する箇所には、初めて登場した順に[1][2]のような番号を振る。同じ文献を再度引用する場合は、最初に振った番号をそのまま使い回す。文末の文献リストは、番号の昇順(=本文での初出順)に並べる。SIST 02やAPAのような著者名のアルファベット順とは根本的に異なるため、混同すると文献の対応関係が崩れる。
雑誌略誌名の書き方(NLM/医中誌)
雑誌名は正式名称ではなく、決められた略誌名で記載するのが原則だ。英文誌はNLM(米国国立医学図書館)が公開する「Journal Abbreviation」に従い、和文誌は医学中央雑誌刊行会(医中誌)が定める略称を用いる。略誌名が不明な場合は、フルネームで記載しても許容されるが、可能な限り統一された略称を使うことが推奨される。
- 例(英文誌):New England Journal of Medicine → N Engl J Med
- 例(英文誌):Nature → Nature(そのまま単語1語の誌名は略記しない)
- 例(和文誌):日本内科学会雑誌 → 日内会誌
著者名の並べ方とet al.のルール
著者名は「姓 名のイニシャル」の順で、姓とイニシャルの間にコンマは入れない。複数著者はコンマで区切る。著者が6名までは全員を記載し、7名以上の場合は最初の6名を書いた後に「et al.」を付ける。この基準はICMJEの統一投稿規定に基づくもので、SIST 02やAPAの「3名以降et al.」とは異なる点に注意したい。
von Itzstein M, Wu WY, Kok GB, Pegg MS, Dyason JC, Jin B, et al. Rational design of potent sialidase-based inhibitors of influenza virus replication. Nature. 1993 Jun 3;363(6428):418-23.

資料種別ごとの記載例一覧
| 資料種別 | 表記順 | 記載例 |
|---|---|---|
| 雑誌論文(6名以内) | 著者名.タイトル.雑誌略誌名.年;巻(号):頁. | Yamada T, Suzuki K. 高齢者における転倒予防の効果検証.日内会誌.2024;113(2):210-217. |
| 雑誌論文(7名以上) | 著者6名,et al.タイトル.雑誌略誌名.年;巻(号):頁. | von Itzstein M, Wu WY, Kok GB, Pegg MS, Dyason JC, Jin B, et al. Rational design of potent sialidase-based inhibitors of influenza virus replication. Nature. 1993;363(6428):418-23. |
| 単行書(書籍) | 著者名.書名.版表示.発行地:出版社;発行年. | 田中一郎.臨床薬理学テキスト.第3版.東京:医学書院;2023. |
| Webサイト | 著者名/団体名.ページタイトル[インターネット].発行地:発行元;発行年[引用日].入手先:URL | 厚生労働省.感染症発生動向調査[インターネット].東京:厚生労働省;2025[引用2026-07-17].入手先:https://www.mhlw.go.jp/ |
| 学会抄録 | 著者名.演題名[抄録].学会名;開催年月;開催地.抄録集.頁. | 佐藤花子.術後せん妄の危険因子に関する検討[抄録].日本老年医学会学術集会;2025年6月;名古屋.抄録集.112頁. |
DOIの記載方法
近年はページ番号に加えてDOI(デジタルオブジェクト識別子)を併記する学術誌が増えている。バンクーバー方式では、頁数の後にピリオドで区切ってDOIを追加するのが一般的だ。
例:Tanaka H, et al. Risk factors for postoperative delirium in elderly patients. J Geriatr Med. 2025;42(3):301-9. doi:10.1234/jgm.2025.042030.
SIST 02・APAとの違い
SIST 02やAPAは著者名のアルファベット順に文献を並べ、本文中では「著者名(年)」の形式で引用する点がバンクーバー方式と根本的に異なる。SIST 02・APAの基本ルールは参考文献の書き方完全ガイドで解説している。また、脚注に番号を振って出典を示す方式との違いは脚注での引用の書き方2026を参照してほしい。孫引き(二次引用)を行う場合の表記ルールは二次引用(孫引き)の書き方2026にまとめている。
よくある間違いと注意点
- 著者名のアルファベット順への並べ替え:バンクーバー方式は引用順であり、著者名順に並べ替えるのは誤り。
- 略誌名の不統一:同じ雑誌を論文内で異なる略称で表記すると読者が混乱する。NLMまたは医中誌の略称に統一する。
- 7名以上でet al.を付け忘れる:6名を超える場合は必ず6名目の後にet al.を付ける。
- 本文中の引用ルールとの不一致:本文中の直接引用・間接引用の書き方全般は論文の引用ルール完全ガイド2026で確認できる。
FAQ
バンクーバー方式とSIST 02はどちらを使うべきですか?
投稿先の学術誌が指定する形式に従うのが原則である。医学・看護系の国際誌や医中誌収録誌の多くはバンクーバー方式を採用しているため、投稿規定を確認したうえで選択する。
著者が6名ちょうどの場合、et al.は必要ですか?
著者が6名以内であれば全員の氏名を記載し、et al.は付けない。et al.を用いるのは著者が7名以上のときで、最初の6名を記載した後に付ける。
和文誌の略誌名はどこで調べられますか?
医学中央雑誌刊行会(医中誌)が定める略称一覧が代表的な参照先である。英文誌についてはNLMが公開する「List of Journals Indexed for MEDLINE」に略誌名が掲載されている。
同じ文献を本文中で複数回引用する場合、番号は変わりますか?
変わらない。最初に登場した箇所で振った番号をそのまま再利用し、文献リストにも同じ番号を一度だけ記載する。
DOIとURLはどちらを優先して記載すべきですか?
DOIが付与されている文献はDOIを優先する。DOIはURLと異なりリンク切れが起きにくく、恒久的に文献を特定できるためだ。DOIがない場合のみ入手先URLと引用日を記載する。
学会抄録は正式な参考文献として使えますか?
査読を経た本論文に比べて引用の重みは劣るため、可能であれば正式な論文の公表を待って引用するのが望ましい。やむを得ず抄録を引用する場合は「[抄録]」と明記し、出典であることを明確にする。
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