規格・特許の引用の書き方2026|JIS・ISO・特許公報のSIST 02/APA記載例と番号の書き分け

規格と特許は、著者名ではなく番号で一意に特定される文献です。そのため参考文献では、規格番号・特許番号と制定改正年を正確に書くことが、著者名以上に重要になります。

JIS・ISO・特許公報・公開特許公報の記載要素を比較した図
規格と特許は、記載すべき要素が文献種別ごとに異なる

まず確認:JISは「日本工業規格」ではありません

執筆前に必ず直しておきたい点があります。JISの正式名称は「日本産業規格」です。かつては「日本工業規格」でしたが、根拠法である工業標準化法が産業標準化法(昭和24年法律第185号)に改称され、あわせて規格の名称も「工業標準」から「産業標準」へ、審議機関も日本工業標準調査会から日本産業標準調査会へ改められました。現行法の附則には、旧法により制定されていた工業標準を新法により制定された産業標準とみなす経過規定が置かれています。

問題は、インターネット上の解説記事も、大学のレポート例も、いまだに「日本工業規格」と書いているものが非常に多いことです。参考文献リストに旧称を書いても番号で特定はできますが、本文で規格制度を説明する場面では現行の名称を使ってください。同じ注意は、引用する官公庁資料の発行機関名にも当てはまります。

JIS規格はどう書くのか?

JISは「規格番号:制定改正年」で一意に定まります。番号だけでは版が特定できないため、年を落とさないでください。規格は改正されるため、どの版を参照したかが再現性の要になります。

本サイトの参考文献の基本形(SIST 02は「著者. 標題. 発行年, (参照 日付), URL」、APA第7版は「著者. (年). 標題. URL」)に沿うと、次のようになります。

方式 記載例
SIST 02 日本産業標準調査会. JIS Z ○○○○:2024 ○○○○試験方法. 2024, (参照 2026-08-15), https://www.jisc.go.jp/
APA第7版 日本産業標準調査会. (2024). JIS Z ○○○○:2024 ○○○○試験方法. https://www.jisc.go.jp/
本文中 ……JIS Z ○○○○:2024に規定される方法に従って測定した。

実務上のポイントは3つです。

  • コロンの後の年は「その版の制定または改正の年」であり、あなたが参照した年ではありません。参照日は別に書きます。
  • 部編成のある規格は部番号まで書く。「JIS X ○○○○-2」のようにハイフン以下が別規格に相当します。
  • 閲覧しただけで本文を引き写さない。規格票には著作権があり、条項の全文転載は許諾が必要になる場合があります。番号と条項番号で参照し、必要最小限の引用にとどめてください。

ISO・IECなど国際規格はどう書くのか?

考え方はJISと同じで、発行機関+規格番号:年+規格名称です。国際規格では機関名がそのまま著者になります。

  • SIST 02:ISO. ISO ○○○○:2021 ○○○○— Requirements. 2021, (参照 2026-08-15), https://www.iso.org/
  • APA第7版:International Organization for Standardization. (2021). ISO ○○○○:2021 ○○○○— Requirements. https://www.iso.org/

注意すべきはJISとISOの対応関係です。ISOを基礎として制定されたJISがあり、その場合「JIS ○○○○(ISO ○○○○)」のように併記されることがあります。両者は内容が一致するとは限りません(一致規格・修正規格・同等でない規格の区別があります)。自分が実際に参照したほうを引用し、対応関係を述べる場合は両方の番号と年を示してください。片方だけ見て「ISOと同じ」と書くのは避けるべきです。

規格番号と制定改正年を確認するための規格書の拡大
番号は合っていても年が古い——参考文献で最も多い誤り

特許文献はどう書き分けるのか?

特許でつまずくのは、「公開特許公報」と「特許公報」が別物であるという点です。前者は出願が公開された段階、後者は特許として登録された段階のもので、番号の体系も意味も異なります。

種別 番号の形 意味 本文での扱い
公開特許公報 特開2024-○○○○○○ 出願が公開された段階。権利は未確定 「〜が出願されている」
特許公報 特許第○○○○○○○号 特許権が登録された 「〜の特許が登録されている」
公表特許公報 特表2024-○○○○○○ 国際出願の日本語による公表 出願経路の違いに注意
実用新案 実用新案登録第○○○○○○○号 特許とは別の権利 「特許」と書かない

この書き分けを誤ると事実関係の誤りになります。「特開」の文献を根拠に「特許を取得している」と書くのは、出願段階のものを登録済みと述べることになり、技術的主張の正確さを損ないます。審査で却下された出願も公開されている点に注意してください。

記載例は次のとおりです。

  • SIST 02:山田太郎. ○○○○装置. 特開2024-○○○○○○. 2024-08-15, (参照 2026-08-15), https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
  • APA第7版:山田太郎. (2024). ○○○○装置 (特開2024-○○○○○○). https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

著者にあたるのは発明者ですが、分野によっては出願人(企業名)を併記します。日本の特許情報は、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営するJ-PlatPatで検索・閲覧できます。番号は必ず現物で確認し、記憶や二次情報から書き写さないでください。

本文中ではどう参照するのか?

規格・特許は、本文中でも番号を直接書くのが通例です。「文献[3]の方法で」より「JIS Z ○○○○:2024の方法で」のほうが、読者は照合せずに何を指すか分かります。番号を本文に書いたうえで、参考文献リストにも掲載してください。

引用の一般原則そのものは 論文の引用ルール完全ガイド2026、参考文献リスト全体の作り方は 参考文献の書き方完全ガイド にまとめています。

隣接する文献種別との使い分けも押さえておくと迷いません。法令・判例は規格や特許とは別の表示ルールに従うため 法律文献・判例の引用の書き方2026 を、省庁の白書や統計は 官公庁資料・白書・統計の引用と参考文献の書き方 を参照してください。規格や特許にDOIが付与されている場合の書き方は DOI・URL・アクセス日の書き方 が使えます。工学系の卒業研究全体の型は 工学部の卒業研究・卒論の書き方2026 にあります。

よくある質問

JISの正式名称は「日本工業規格」ではないのですか?

現在は「日本産業規格」です。根拠法が工業標準化法から産業標準化法に改称され、規格名称も工業標準から産業標準へ、審議機関も日本産業標準調査会に改められました。旧称を記載した解説が多く残っているため、本文で制度を説明する際は現行名称を使ってください。

規格番号の後ろの年は参照した年ですか?

違います。「JIS Z ○○○○:2024」の2024は、その規格の制定または改正の年です。あなたが参照した日付は、SIST 02なら「(参照 2026-08-15)」のように別途記載します。両者を混同すると版が特定できなくなります。

「特開」と「特許第○○号」はどう違いますか?

「特開2024-○○○○○○」は公開特許公報で、出願が公開された段階を示し権利は未確定です。「特許第○○○○○○○号」は特許公報で、特許権が登録された状態を示します。特開の文献を根拠に「特許を取得している」と書くのは誤りです。

規格の条文をそのまま論文に載せてよいですか?

規格票には著作権があるため、条項の全文転載には許諾が必要になる場合があります。番号と条項番号で参照し、必要最小限の引用にとどめるのが安全です。判断に迷う場合は指導教員か発行機関に確認してください。

JISとISOの両方を引用するときはどうしますか?

実際に参照したほうを引用します。対応関係に言及する場合は、両方の番号と年を示してください。ISOを基礎としたJISでも内容が完全に一致するとは限らないため、片方だけを見て「同じ内容」と断定するのは避けます。

特許の著者には発明者と出願人のどちらを書きますか?

基本は発明者ですが、分野や様式によっては出願人(企業名)を併記します。指定された様式があればそれに従い、なければ発明者を著者として書き、出願人を補記する形が読み手に親切です。

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